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サイクル ロードレース コラム 2016年7月7日

ツール・ド・フランス2016 第5ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「今日はすべての条件が整っていた。僕が勝つにはパーフェクトな1日だったんだ。脚の調子は良かったし、良いエスケープに乗ったし。コースもまさしく僕向きだった」(ヴァンアーヴェルマート、公式記者会見)

1年前の第13ステージでは、やはり中央山塊のステージで、上りスプリントを制した。この日は前方でひとり、苦しみに耐え、しがみついた。たどり着く先に、マイヨ・ジョーヌが待っていることを、知っていたから。

「僕のような脚質の選手にとって、マイヨ・ジョーヌを着るというのは、とても誇らしいこと。だって僕はピュアスプリンターでもなければ、タイムトライアル巧者でもない。もちろんパリの総合表彰台に上る喜びなんて、この先も絶対に味わえない。だからこそ、区間勝利以上に、マイヨ・ジョーヌには特別な感動を覚えるんだ」(ヴァンアーヴェルマート、公式記者会見)

ツール・デ・フランドルで鎖骨を骨折し、失意の春を過ごした31歳が、ル・リオランのスキー場で喜びを爆発させた。明日は1日マイヨ・ジョーヌを満喫したら、明後日のピレネーからは心置きなく総合リーダーのために尽くせるね……と、働き者としての横顔ものぞかせる。でも、総合2位以下とは5分以上の差をつけているから、「トマ・ヴォクレール風」のジャージ保守の日々に突入する可能性だってなくはないのだ。

総合本命にとっても、中央山塊で繰り広げられたステージは、極めて重要な1日だった。たしかにピレネーやアルプスのように、巨大峠は登場しない。ただし、「誰がツールを勝てないのか、それが判明する」、と言われることの多い大会初の山岳ステージで、失敗は絶対に許されない。ライバルたちから、ほんのわずかのディスアドバンテージさえ、負ってはならないのだ。物理的にも、精神的にも。

だから多くの総合本命が、アシストたちを、「もしも」のために前方集団へと滑り込ませた。もしかしたらヴァンアーヴェルマートだって、BMCのティージェイ・ヴァンガーデレンやリッチー・ポートの有事には、前方待機を指示されていたのだろうか?アスタナのグリブコは、まさしくファビオ・アルを待った。また3人を、ほんの数分差で追いかけ続けた6人の集団には、スカイやティンコフも1人ずつ紛れ込んでいた。

一方でモヴィスターは、9人全員がメイン集団に留まった。だからペイロルの登りに入ると、率先して集団制御にとりかかった。スカイも負けじと、残る8人で隊列を組んだ。おかげでスプリンターやらサガンは、当然のごとく、一気に脱落していった。さらには、5月末にジロを勝ちとったばかりのヴィンチェンツォ・ニーバリさえも、滑り落ちていって……!

3大ツール全制覇の大チャンピオンによれば、「至極当然のこと」だったらしい。最終的にニーバリは、優勝候補たちから8分半以上も遅れて、静かに1日を終えた。なんとも晴れやかな、さっぱりした表情だった。

「だってジロ以来、レースを走ってこなかったんだから。あたりまえだよ。このツールの目標は、あくまで、五輪に向けて調子を上げていくこと。だから3週目には本調子になっていれば、それで満足。総合争いはアルに任せて、僕はとても自由な気分で走っている」(ニーバリ、ゴール後TVインタビュー)

昨大会の「ファンタスティック・フォー」の1人があっさり総合争いから一抜けした後は、スカイが淡々とリズムを刻んだ。メイン集団内では、しばらく何も起こらなかった。そんな膠着状態をぶち破ったのが、ロメン・バルデだ。祖母が住む村の目と鼻の先であり、普段のトレーニングルートでもある山道で、どうしても何か試さずにはいられなかった。だから3級フォン・ド・セールの山頂間際で急加速を切ると、短い下りへと勢いよく打って出た。

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