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キンタナのチームメートであり、大先輩でもあるアレハンドロ・バルベルデは好走を見せ、総合でもひとつ順位を上げた(5位3分17秒差)またBMCのダブルリーダーのうちの1人、ティージェイ・ヴァンガーデレンもTT巧者の評判通り、やはりひとつ順位を上げて6位3分19秒につけている。そして、この2人に立場を逆転されたのが、ロマン・バルデだった。
フランス希望の星ティボ・ピノが出走を取りやめた当日に、もう1つのフランスの才能、バルデは思うような走りを実現できなかった。184cm・65kgの痩身が、時速90km超風に体を押され、ふらつくシーンが幾度となく映し出された。いわゆるピュアクライマーのファビオ・アルやホアキン・ロドリゲス、ダニエル・マーティンと比べれば、かろうじてタイムを上回っているものの(54分07秒32)、本人には到底満足のできる成績ではなかった。
「風と起伏に苦しめられた。でも、苦しかったのは、他の選手も同じだったはず。コースが難しかったと同時に、この結果を受け入れることも難しい。でも、ツールはまだ終わってはいない。あくまでトップ5入りを狙っていく。すべてを決めるラスト1週が、まだ残っているのだから」(バルデ、ゴール後TVインタビュー)
現時点では総合7位につけている。フルームまでのタイム差は04分04秒、トップ5入りまでは47秒差、表彰台までは1分19秒差。
一方でリッチー・ポートは、総合11位から8位へと大きくジャンプアップを成功させた。第1計測地点では総合勢の中で最速タイムさえ叩き出していた。ところが後半で大きく崩れた。7km地点で22秒もリードしていたアダム・イェーツには、ゴール地では6秒のビハインドをこうむった。同じく40秒のリードを付けていたナイロ・キンタナにさえ、0.43秒差で負かされた。「リッチーはすごく強いけれど、総合リーダーになりたいなら、力配分と、日々の好調さの波を覚える必要がある」と昨季のフルームは助言していたが、この先のリッチーは果たして、どう戦っていくのだろうか……。
最終走者フルームがフィニッシュラインを通過した直後、フランスのTV局は、レース放送をいったん中断した。ニースのテロ事件を受けて、中央警察の署長が安全を喚起する演説を行ったからだ。その後、4賞ジャージ受賞者が表彰者で黙祷を捧げるシーンが、フランス全土に、いや、全世界に中継された。おなじみのカラフルなジャージに、黒い腕章が悲しく存在感を放っていた。フランスは3日間の喪に服している。第14ステージのスタート前にも、プロトンによる1分間の黙祷が捧げられる。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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