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サイクル ロードレース コラム 2016年7月18日

ツール・ド・フランス2016 第15ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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これをきっちり回収に向かったのが、スカイの山岳アシスト、ワウテル・ポエルスだった。総合ですでに5分以上遅れている選手の攻撃など、マイヨ・ジョーヌ自らが動くほどの謀反でもなかったのだろうか?この春リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを制した「他のチームなら間違いなくリーダーに指名されるべき強者」(byフルーム)は、すぐに後輪に張り付くのではなく、ただテンポを一段上げることだけで対処した。

やはり最終峠の、もう少し山頂間際では、今度はロメン・バルデが攻撃に転じた。

「よく知っている道だったし、大好きな道だから。なにより、その後にカーブの多い下りが待っていたからね」(バルデ、ゴール後インタビュー)

総合7位の加速に対しても、やはりポエルスが引っ張り上げる役目を果たした。今回は、単に「淡々と」ではなかった。バルデに先頭でダウンヒルを行かせてはならない、とばかりに、山頂間際では少々「荒々しく」先頭を奪い返した。

「スカイ相手に、あんな攻撃の仕方は、必ずしも最良の選択肢ではなかったかもしれない。協力し合えるような誰かが、後ろから僕を追いかけてきてくれたらよかったんだけど、結局は誰も来なかった。だから僕自身も、それほど無理には粘らなかった」(バルデ、ゴール後インタビュー)

アルの時も、バルデの時も、実はモヴィスターのアレハンドロ・バルベルデが同調するような動きを見せている。またモヴィスターは、エスケープにも2人アシストを忍び込ませていた。いずれもチームリーダーのナイロ・キンタナのもしものアタックに備えて……とのことだったが、スペインチームのアシストは何も効果的な働きはできなかった。

フルームは有能なアシストの背後で、厳しい道のりにも、ひどい暑さにも負けず、落ち着いて走り続けた。ただ1度だけ、びっくりするような行動をとった。やはりラストの1級峠だった。突然アシストの後輪から飛び出すと、ほんの数回クルクルクル、とペダルを高速で回した。かと思うと、一瞬でまた、元の静かなリズムを取り戻した。これは、いわゆる、フェイントだった。

「ライバルたちの状態を見極めたかったんだ。誰が僕の後輪にはりついてくるのか、この先アタックを打ってきそうな選手は誰なのか。そんなことを把握しておきたかった。キンタナはすぐに、僕の後輪に飛び乗ってきたね」(フルーム、公式記者会見)

山頂間際での攻撃予告、も実は兼ねていた。結局それも前述のとおり、バルデとポエルスの一瞬の攻防に取ってかわった。下りでバルデとバルベルデが、もう1度だけ共謀を仕掛けるが、何も劇的なことは起こらなかった。

「もっと他のチームや他の選手が仕掛けてくるに違いない、って思っていたから、今日の状況には少し驚いている。おそらく誰もが体力的に限界で、違いを作り出せるほどの強さを持っていなかったのだろう」(フルーム、公式記者会見)

こうして総合の上から13人中、12人は仲良く揃って、同タイムでフィニッシュラインを越えた。ただ1人だけ、ティージェイ・ヴァンガーデレンが1分28秒を失い、総合6位から8位へと後退した。

翌第16ステージには、ツールはスイスのベルンへと入場する。今年限りの現役引退を宣言している、ファビアン・カンチェラーラの生まれ故郷だ。なにやらツールの現場では、ベルンでカンチェがツールをリタイアするらしい、という噂話が流れている。嘘か誠か。ただもしも本当だとしたら、ファンにとっては少々悲しい決断だけれど……。だったら堂々と、勝ち逃げを狙ってもらうしかない!

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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