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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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「正直に言えば、まさかトニーと2人きりで逃げることになるとは、思ってもいなかった。でも、実際に走ってみて、よくよく悟ったんだ。協調の取れない集団で逃げるより、彼と2人きりで走る方がずっと素晴らしいことなのだ、って。僕にとっては非常にためになる自転車レッスンだった。こんな日が、きっと、僕をさらに強くしてくれるはずなんだ」(アラフィリップ、ゴール後TVインタビュー)
マルティンが80%、アラフィリップが20%で先頭交代を続けたタンデム逃避行は、プロトンに最大6分近い差をつけた。後方からは3選手が延々と追いかけてきていたけれど、プロトン最強のルーラーに、平地で追随することなど不可能だった。
それでも中間スプリントをきっかけに、「上れる」スプリンターたちがエティックスコンビを急速に追い上げていった。特にサガンを支えるティンコフ、すでに区間1勝+マイヨ・ジョーヌ3日間を満喫したフレフ・ヴァンアーヴェルマートのBMC、クリストフの今大会初勝利にかけるカチューシャが、プロトンの前線で惜しみなく作業に従事した。おかげでチャンピオンのそばでたっぷり学んだアラフィリップは、ゴール前25kmで力尽きた。背後から迫りくるプレッシャーを感じながら、マルティンはもうひと粘り。それでもラスト22kmで、迫りくる集団に飲み込まれていった。
敢闘賞の審査員たちは、2人の懸命な努力に、いたく感動したらしい。どちらか1人だけを選ぶことなどできない……と、例外的にマルティンとアラフィリップに赤ゼッケンを手渡すことに決めた。これは2011年第9ステージ、大逃げ中に自動車に接触され、ケガを負いながらも最後まで走り切ったジョニー・ホーヘルラントとフアンアントニオ・フレチャが2人同時受賞して以来の、極めて特別な対応だった。
「僕の考えでは、僕よりも、トニーのほうにずっとふさわしい賞だね。だって僕はただ、彼の後ろにしがみついていただけなんだから」(アラフィリップ、ゴール後TVインタビュー)
2人を吸収するために、プロトンがあまりにもスピードを上げすぎたものだから、ゴール前25kmの4級峠で大量の脱落者を出した。しかも、マルティンの吸収のすぐ後には、やはり世界チャンピオン経験者のルイ・コスタが独走を試みて……、ますますプロトンは勢いを増した。単独の試みは、ラスト約4kmで、むなしく終止符が打たれた。
すでに一回り小さくなった集団は、ラスト2.5kmから始まる「石畳」の、しかも「急カーブ」満載の、さらには「勾配7%」の坂道で小さく絞り込まれた。北クラシック巧者のセプ・ヴァンマルクが奇襲を試みたこともあった。さらにはラスト1.5kmからの、全長600mとちょいと長めの坂道で、もう一回り小さくなった。なによりジャイアント・アルぺシンが猛烈な牽引を試みた。昨年のミラノ〜サンレモ&パリ〜ルーベ覇者にして、今年2月の自動車接触事故からいよいよ本調子を取り戻しつつあるジョン・デゲンコルブのために。
ラスト1kmで平地が戻ってきたころには、先頭集団は30人ほどに数を減らしていた。そのうちの16人は、総合の上から16人だった。つまり半数近くは区間勝利よりも、「分断にはまらず、ライバルからタイムを失わないこと」に集中していた。唯一の例外が「スプリントできるヒルクライマー」アレハンドロ・バルベルデで、「上れるスプリンター」たちに先駆けて、大胆にもスプリントを切った。
ただし、最後に主導権を握ったのは、やはり2人の北クラシックの巧者だった。しかも2015年にツール・デ・フランドルを制したクリストフと、翌2016年のフランドル王者サガンが、競り合ったままフィニッシュラインへと飛び込んだ。ゴール直後はサガン陣営から歓声が上がり、その後はクリストフの周辺で「勝った勝った!」との声が聞こた。結局のところあまりにも僅差だったものだから、勝敗は今大会何度目かの写真判定に持ち込まれた--。
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