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サイクル ロードレース コラム 2016年7月22日

ツール・ド・フランス2016 第18ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「もはやタイム差は4分近くなった。しかも、あと戦いは2日だけだから、このジャージを肩に羽織ってパリにたどり着く自信はある。明日はものすごく厳しいステージになると思う。ただし繰り広げられるのは、おそらく表彰台のポジション争い。だから僕は、ただチームメートたちと共に、安全第一でついていくだけ」(フルーム、ミックスゾーンインタビュー)

もしもフルームの優勝がほぼ確定したのだとしたら、表彰台の場所はあと2つ残っている。貴重な場所を争う選手たちは、この日のタイムトライアルで、大きく明暗が分かれた。いわゆる「勝ち組」と呼べるのは総合5位ロメン・バルデ(フルームから区間42秒遅れ、総合4分57秒遅れ)総合6位リッチー・ポート(33秒、5分)、総合7位ファビオ・アル(33分、6分08秒)の3人だろう。

ポートはフルームと並んで、区間優勝の最有力候補に挙げられていた。なにしろパリ〜ニースでは2013年と2015年の2回、登坂タイムトライアルを制した経験を持っている。そんな小柄のヒルクライマーは、勢いよくスタートダッシュを仕掛けたた。6.5㎞地点の計測では、11分33秒と、全プロトン中のトップタイムをたたき出した。特に登坂2.5㎞のドマンシー登坂タイムだけで争う「ベルナール・イノー賞」も、堂々と勝ち取っている。

「ツール前の下見で、このタイムトライアルが僕向きであることは把握していたんだ。だから今日の結果には満足している。あらゆるライバルから、タイムを奪うことに成功したんだから」(ポート、ミックスゾーンインタビュー)

後半は勢いが少々落ちたものの、ポジティヴに1日を終えることに成功した。総合では5分差の6位につける。ちなみに、もしも、第2ステージの最終盤にパンクして1分45秒を失っていなかったら……。単純計算だけでも、今頃は総合2位の座につけていたはずである。

1週目はボトル運びや、スプリントエースのための仕事を買って出た。そして、目標としていたツール3週目の、最初の日に、大きな栄光をつかんだ。ツール・ド・フランスには初出場で、だから初めての区間優勝だった!

「ツール序盤に不運に見舞われたのは残念だけれど、とにかく表彰台に上りたい。だから残り2日間で、自分のチャンスを狙いに行かねばならない。調子もいいし、自信もある」(ポート、ミックスゾーンインタビュー)

バルデもまた、表彰台に大きく近づいた。第17ステージ終了時の段階では、総合3位まで1分22秒の距離があった。今ステージ終了後は総合順位こそ5位と変わらないものの、総合3位まで41秒差に縮まった。

しかし、いずれの陣営も、フルームの本気を引き出すことはできなかった。マイヨ・ジョーヌはただ黒い隊列を信頼し続けるだけでよかった。驚異的な山岳アシストのワウテル・ポエルスが、たいていの謀反人はしっかりと回収してくれたから。

「このタイムトライアルは、とても良い感触で走れた。難度が上がれば上がるほど、僕には向いている。今日は決して限界を超えてしまわぬように、自分自身を制御して走った。おかげで一定スピードを保ち続けられたし、滑らかなパフォーマンスも実現することができた」(バルデ、ゴール後TVインタビュー)

ほぼ全ての上りをダンシングスタイルで、アグレッシブに上り切った。そんなアルは、ポートと同じゴールタイムを記録した。……それどころか、正確にはコンマ27秒上回った!区間3位のとてつもない好成績は、総合でも、8位から7位へとのジャンプアップにつながった。表彰台までの距離は1分52秒差。少々遠すぎるだろうか?5月に4分43秒差を逆転して、ジロ総合優勝を持ち帰ったヴィンチェンツォ・ニーバリが、アルの護衛役を務めていることも忘れてはならない。

総合2位バウク・モレマ、3位アダム・イェーツ、4位ナイロ・キンタナにとっては、それぞれに失望の1日だった。3人全員かろうじて総合順位こそ守ったものの、フルームに対しては、3人全員がタイムを大幅に失った。しかも前述の5位〜7位の選手からは、一気に後方から差を詰められた。マイヨ・ジョーヌの夢は遠ざかり、表彰台の可能性も脅威にさらされている。当然ながらキンタナの3回連続「フルームの次点=総合2位」も、もはや危うい状況にある。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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