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サイクル ロードレース コラム 2016年8月21日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 第1ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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27.8kmの全力疾走の果てに、上位2チームのタイム差は、0.28秒差だった。公式記録では、首位チームスカイにも、2位モヴィスターチームにも、30分37秒の同タイムが与えられた。しかし順位付けは残酷だ。モヴィスターの永遠のリーダー、アレハンドロ・バルベルデは0秒差の総合6位に泣き、スカイの忠実なアシスト、ピーター・ケノーに2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ最初のマイヨ・ロホが与えられた。

参加全22チームの中で、真っ先にずば抜けた好タイムを叩きだしたのは、16番スタートのオリカ・バイクエクスチェンジだった。2013年ツール、さらに2014年&2015年ジロでも集団ストップウォッチ競争を制した、いわゆる「グランツールのチームタイムトライアル(TTT)スペシャリスト」は、30分43秒で、一気に首位の座を奪い去った。長らくトップポジションをキープしてきた2012・2013年世界選手権TTTチャンピオン、エティックス・クイックステップを、一気に16秒上回った。また直後にフィニッシュした、世界TTT2連覇中のビーエムシーレーシングチームさえ、わずか1秒差で退けた。

しかし、すでに2012年と2014年の2回、ブエルタの初日TTTをもぎ取ってきたモヴィスターが、コース終盤に驚異的な追い上げをみせた。中間計測ポイントの遅れをひっくりかえし、20番スタートのスペインチームが、6秒リードでフィニッシュラインを越えた。

過去2回と違ったのは……、先頭通過者がヨナタン・カストロビエホではなかったこと。誰が先頭を通過するか決めずに、ひたすらぎりぎりまでスピードを落とさないことをモットーに走った過去2回は、最終牽引役が自動的にマイヨ・ロホを身にまとった。ただし今回は、バルベルデがいの一番にゴールへと飛び込んだ!36歳にして、生まれて初めて年間3つ全てのグランツールのスタートラインに立った大ベテランは(ジロ総合3位、ツール総合6位)、自身30枚目のグランツールリーダージャージ(これまでツール2枚、ブエルタ27枚)に王手をかけた。

21番スタートのスカイが、残念ながら、「エル・インバティド(無敵男)」の夢を打ち砕くことになる。モヴィスターの30分37秒69を、ほんのわずか100分の28秒だけ上回る、30分37秒41というタイムを記録して!

7月の王者クリス・フルームを乗せた黒い列車は、初日マイヨ・ロホではなく、ただマドリードのマイヨ・ロホのためだけに走っていた。9人全員が一丸となってペダルを回した。3選手が全力を尽くして千切れていったあと、トラックスペシャリストのピーター・ケノーが最終牽引役を見事に果たした。トップスピードを最大限に保ったまま、ためらわずフィニッシュラインを先頭で駆け抜けた。

そして、最終出走チームのティンコフに逆転されなかった時点で、スカイのステージ優勝と、ケノーのマイヨ・ロホが確定した。英国チャンピオンジャージなら、ロードでもトラックでも、ジュニア時代から何枚も身にまとってきた。世界チャンピオンジャージだって、2012年団体追抜で手に入れた。4年前の夏には、五輪でも、やはり団体追抜で金メダルに輝いている。女王陛下から勲章だって授けられた。しかしグランツールのリーダージャージに袖を通すのは、ケノーにとっては、初めての体験だった。

フルームはチームの快挙に興奮し、チームメートのリーダージャージをまるで我がことのように喜び、なにより好タイムに満足した。チームの前から5番目で1日を終え。自動的に総合5位の座も確保した。ベルナール・イノーが1978年に達成して以来となる(ただし当時のブエルタは春開催)、38年ぶりのツール&ブエルタ同一年優勝を狙うフルームは、いわゆる総合優勝を争うGCライダーの中で、早くもトップに躍り出たことになる。

もちろんモヴィスターの2大リーダー、バルベルデ(総合6位)&ナイロ・キンタナ(総合10位)とは「同タイム」だ。ツールで長らく総合2位を守り続けたアダムと双子のサイモン・イェーツと、この春のジロを総合2位で終えたエステバン・チャベスのオリカコンビも、6秒差でぴたりとつけている。そのジロで、閉幕2日前にマリア・ローザを失ったスティーヴン・クライスヴァイクは、27秒遅れで被害を「最小限」に食い止めた。

一方で「ツールのリベンジ」にやってきたアルベルト・コンタドールは、とてつもなく大きく出遅れた。7月のフランスで2度の落車の犠牲となり、第9ステージで途中リタイアした後、目標を4度目のブエルタ制覇に切り替えて、再調整に励んできたはずなのだが……。スカイとモヴィスターのライバルから、初日の27.8kmだけで、なんと52秒も失った。過去グランツールを7回(+剥奪された2回)も攻略してきた大チャンピオンの、8度目の頂点獲りに、早くも黄信号が灯ってしまった。

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