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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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だから、どれほどモヴィスターが奮闘しても、一旦開いたタイム差を縮めることはできなかった。ゴール前40km、後方では追走作業が静かに打ち切られた。さらにじわじわと、タイム差は開いていった。これを合図に、前方では、協力体制が打ち切られた。逃げ切りが許されたことを悟った21人は、区間勝利へ向けた壮大なるアタック合戦へと乗り出したのだ。
デヘントが貪欲に狙い、ローランが加速し、スティバールも試みた。しかし、いわゆる「強者」たちの動きは、全てが極度に警戒され、全てがライバルの手によって封じ込まれた。その隙をついて、アクセル・ドモンは3度飛び出した。3度目はとりわけ強力で、そのまま最終峠の山道を、ひとり先頭で上り始めた。残された者たちは、牽制と牽引の間で揺れ動いた。やはりこの時も、キングが率先して牽引役を務め、ローラン……を含む逃げ集団全員を連れてドモンをきっちり回収した。ゴール前9.5km。再びエスケープはひとつになった。
その直後だった。カルメジャーヌがトライした。誰もすぐには動かなかった。「逃げの中でも、僕の名前を知っている選手は、それほどいなかったんじゃないかな」なんて冗談とも本気ともつかないコメントを本人は残したが、たしかに、ライバルたちはそれほど危険視していなかったのかもしれない。数人がきょろきょろと顔を見合わせた。同じフランス人であり、昨季までは同じ組織——ローランはプロチームに、カメルジャーヌはU23チームに——に属していたローランが、追走の責任を負うことにした。……しかし、無名選手の捨て身のアタックに、名うてのヒルクライマーたちはことごとくノックアウトされた。もはや誰一人として、追いつくことはできなかった。
2016年1月にプロデビューしたばかりの23歳は、がむしゃらにペダルをこぎ続け、その一方では、山頂にたどり着く直前に、ジャージの前を閉める明晰さも残していた。記念すべきプロ1勝目の勝利であり、グランツール初挑戦4日目でつかんだ、思いもかけない大金星だった。しかも所属チームのディレクトエネルジーに、今シーズン初めてのグランツール区間勝利をプレゼントしただけでなく……、設立17年目の同チームに初めてのブエルタ・ア・エスパーニャ区間勝利を献上したのだ!
カルメジャーヌが大サプライズを演出した、ほんの15秒後に、アタプマがフィニッシュラインへ飛び込んだ。区間2位のボーナスタイム6秒も手に入れ、メイン集団の到着を待った。
モヴィスターが追走を放棄したプロトンは、最終峠の直前で、代わってティンコフが集団制御に務めた。スピードを上げるためではなく、前日の最終峠でタイムを失ったアルベルト・コンタドールを、確実に前方で山道へと送り込むためだった。全長11.2kmの2級峠では、ただマイヨ・ロホのフェルナンデスが集団から脱落していた以外は、特筆すべき動きは見られなかった。いわゆる「マイヨ・ロホ&表彰台候補」たちは、みな揃って区間勝者の2分05秒後にゴールした。
こうしてBMCのコロンビア人の肩に、生まれて初めてのグランツールリーダージャージが舞い込んだ。フェルナンデスは1分10秒差の総合7位に大きく後退し、アレハンドロ・バルベルデは総合2位と順位こそ変わらないものの、首位からの遅れは7秒から28秒と広がった。もちろんバルベルデと総合3位クリス・フルームのタイム差は、4秒のまま変わらず。4位エステバン・チャベスと5位ナイロ・キンタナとの差が10秒なのも、13位アルベルト・コンタドールとの差が1分24秒なのも、まったく変わりはない。
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