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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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ゴール前2.7km、ルーゴのローマ城壁の外周に突入する直前だった。フィリップ・ジルベールが真っ先に仕掛けた。11のクラシックタイトルと1つの世界タイトルを誇るプロトン屈指のアップダウンハンターは、すでに第2ステージにチラリと垣間見せた野望を、全開にして飛び出した。すかさず2012年ブエルタ山岳賞のサイモン・クラークも、切れ味鋭いカウンターアタックを打った。
結局のところ、2人の猛スピードの企ては、ラスト1kmで潰されることになる。ただし、この動きが、とてつもないカオスを作り出した。誰もがなりふり構わず前方へと詰めかけて、いくつもの落車を産み落とされた。
たとえばチーム ロットNL・ユンボのチームリーダー、スティーヴン・クライスヴァイクが地面に叩きつけられた。昨5月のジロで、マリア・ローザ姿で雪の壁に突っ込んだ不幸な男は、8月のスペイン一周では、左鎖骨骨折で大会を去っていった。同じ場所ではヤン・バークランツも事故の犠牲になった。ちなみに、ステージ当夜、ブエルタ開催委員会が異例の謝罪文を発表した。それによるとコース内に障害物があり(道路左脇に背の低いポールが残されていた)、それに対する安全対策が予定通りに取られていなかったとのことだ。
さらにはフィニッシュ手前数百メートルで、将棋倒しが起こった。ここではアルベルト・コンタドールの山岳アシスト、ロベルト・キセロフスキーが、アスファルトに肩を打ち付ける番だった。そして、この大きな落車が、集団を完全に切り裂いた。あらゆる難事を潜り抜けて、希望に満ちたフィニッシュラインへと突っ込んでいけた選手は、20人にも満たなかった。その中でも、アシストと共に前に生き残れた幸いなるスプリンターは、エティクス・クイックステップのメールスマンだけだった。
そのアシスト役、ゼネック・スティバールは、実に効果的な発射台役を務めた。ただメールスマンは、第2ステージで生まれて初めてのグランツール区間勝利を手にした勢いそのままに、全速力でスプリントを切るだけでよかった。急速に追い上げてくるファビオ・フェリーネを、巧妙に退けて、2つ目の栄光を手に入れた。おかげでポイント賞でも単独首位に躍り出て、緑色のジャージも颯爽と肩に羽織った。
総合2位から4位まで、つまりアレハンドロ・バルベルデ(区間6位)、クリス・フルーム(14位)、ナイロ・キンタナ(13位)の3人も、見事に落車分断を避けて、ゴールスプリントに加わった。改めてスカイとモヴィスターのチーム力の高さが浮き彫りになり、また「マイヨ・ロホ候補」の3人の調子の良さが証明された。そのほかの優勝候補たちや、総合上位選手たちも、そろって「ゼロ秒差」で1日を終えた。
それにしても、あまりのカオスに、一時はバルベルデがマイヨ・ロホ……!なんていう情報も錯綜したほど。山頂フィニッシュを除く通常ステージでは、ゴール前3km以内に発生した落車・メカトラブル等でタイムを失った場合、事故発生時に所属していた集団のゴールタイムと同じ記録が与えられることになっている。当然、ほんの少々遅れて30番目にフィニッシュラインを越えたアタプマにも、メールスマンと同じゴールタイムが与えられ、ジャージは守られた。
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