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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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クリス・フルームが目指すものは、1978年のベルナール・イノー以来となる、ツール・ド・フランス&ブエルタ・ア・エスパーニャ同一年総合優勝だった。この夏のマイヨ・ジョーヌもまた、ラグティンと同じように——むしろ第3ステージと同じやり方で——、登坂序盤に無理はしなかった。ライバルたちの加速に心惑わされることなく、あくまでも自己のリズムを貫いた。こうして一旦は姿を消しつつ、徐々に位置を戻してきて……。
肝心のゾーンに突入すると、くるくるっと高速でペダルを回した。いつものように。ただツール時と違ったのは、大部分の選手はあっという間に振り払ったものの、最大のライバルであるキンタナを振り払えなかったこと。しかもアルベルト・コンタドールもきっちり反応してきた。前日フィニッシュ直前の集団落車に巻き込まれ、左半身に包帯やテーピングを巻き付けたチャンピオンは、粘り強くしがみついた。前夜の時点では「もう続けられないかもしれない」とさえ考えたというのに。
ツール閉幕の1週間後にライド・ロンドンを走り、1週間後にはリオ五輪でロードレースに出場し、4日後に五輪個人タイムトライアルで銅メダル獲得し、その10日後にブエルタ開幕を迎えたフルームは、さらにもう1度スピードを上げた。コンタドールは(一旦)脱落するも、やはりキンタナは振り切れなかった。それどころか、ツール後の4週間をしっかり休養にあてたコロンビア人に、カウンターアタックを決められてしまう。
過去のツールでは、しばし、キンタナの「待ち」の姿勢が批判の対象となってきた。チーム総出でレースを展開しておきながら、肝心のリーダーが動かない。ようやく動き始めるのは、すでにフルームのマイヨ・ジョーヌがほぼ確定した、3週目に入ってから。ところが、このブエルタでは、今までのような悠長な態度とはすっぱり縁を切ったようだ。8日目で大きな一発を打ち込むと、激坂の果てのフィニッシュへと一心不乱に突き進んだ。
フルームのペダルは空回りを続けた。キンタナに置き去りにされ、さらには自らが置き去りにしたはずのコンタドールに、再び追い抜かれた。キンタナの25秒後に、コンタドールはステージを締めくくった。さらに遅れること8秒、英国人はアレハンドロ・バルベルデと共に1日を終えた。前日までキンタナと同タイムにつけていたエステバン・チャベスに至っては、そのキンタナから57秒ものタイムを失った。
4日間マイヨ・ロホを守り続けてきたダルウィン・アタプマは撃沈し、大切なジャージを同郷コロンビアのキンタナに引き継いだ。首位が入れ替わっても、第3ステージから変わらず総合2位の座を守り続けているバルベルデが、やはり19秒差の総合2位についた。総合3位はフルーム(27秒差)、4位チャベス(57秒差)。コンタドールは1分39秒差と、いまだタイム的な遅れは大きいものの、順位は12位から7位と大幅に上昇させている。
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