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アルベルト・コンタドールもまた、むなしく努力を散らすことになる。アシストたちはあまりに体力を費やしすぎて、激坂に入って以降は、1人もリーダーの周りに残っていなかった。だからヘルマンスを吸収するころには、代わりにマイヨ・ロホ擁するモヴィスターが、冷徹な高速リズムを刻んでいた。今大会これまでの山頂フィニッシュとは違って――特に休息日前日のコバドンガとはまるで異なり――、クリス・フルームもスカイのチームメートに支えられて、最前線にしっかり居残っていた。
10%台の勾配が延々と続く、まさしく壁としか表現しようのない坂道の中間には、ほんの数百メートルだけ平坦なゾーンが挟み込まれている。そこで誰もが一息ついた直後だった。ゴール前1.8km、突如としてエステバン・チャベスが、爆発的に飛び出した!
2分09秒差で総合4位につけている危険人物を、遠くへと逃がしてはならない。いつもの微笑みは姿を消し、必死の形相で山をよじ登るコロンビア人ヒルクライマーが20秒ほどの差をつけたところで、ライバルたちは動いた。特に総合首位ナイロ・キンタナのチームメート(で総合2位の)アレハンドロ・バルベルデと、総合3位クリス・フルームのアシスト(で総合6位の)レオポルド・ケーニッヒが、ペダルを力づくで踏み込み、前を追いかけた。暴力的なまでの努力の果てに、フィニッシュまで800m、ついにオリカのジャージをとらえた。
その瞬間だ。ナイロ・キンタナが鋭い加速を見せた。クリス・フルームはすぐに反応した。アルベルト・コンタドールもワンテンポ遅れたが、なんとか後流に入り込めそうに見えた。しかし、絶好調のライバル2人は、手ごわすぎた。
なにより、直後に、クリス・フルームが畳み掛けるようにスピードを上げた。しかも勾配18%ゾーンで、7月のマイヨ・ジョーヌが披露したのは、例のサドルに座った高速ペダル回転ではない。力強いダンシングアタックだった!コンタの姿は消え、ただマイヨ・ロホだけがぴたりと後輪に張り付いた。
ときには牽制し、ときには猛加速をみせた。しかしナイロ・キンタナを背中から振り払えないことを理解すると、クリス・フルームはありったけの力をふりしぼって区間勝利を獲りに行った。自らの名前を初めてグランツール史に刻んだペニャ・カバルガのてっぺんで、荒々しく勝ち名乗りを上げた。
5年ぶりのブエルタ区間勝利と共に、クリス・フルームはボーナスタイム10秒も手に入れた。ただしナイロ・キンタナは背後霊のように同タイム2位で静かにフィニッシュし、つまりクリス・フルームが縮められたタイムはボーナスタイム差分=4秒のみだった。
またリーダーのために力を尽くしたアレハンドロ・バルベルデとケーニッヒは、6秒遅れの区間3位と4位に区イオンだ。すなわちアレハンドロ・バルベルデが6秒遅れ、かつボーナスタイム4秒取得に終わったため、今年のツール総合覇者は総合2位(54秒差)に浮上し、シーズン3つめのグランツールを元気いっぱい戦う36歳は総合3位(1分05秒差)へ一歩後退した。
区間獲りに失敗した3大ツール覇者アルベルト・コンタドールは8秒遅れで、勇敢なアタックで力を使い果たしたエステバン・チャベスは19秒遅れで山を登り終えた。
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