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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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最終5kmの激坂に、息詰まる攻防が待ち受けていた。5年前に初めてグランツール区間勝利を手にした、海の見える山の上で、クリス・フルームが天に向かって力強く拳を突き上げた。見ている方さえ思わず歯を食いしばってしまうような、ギリギリのせめぎあい末に、またしても赤いジャージを一騎打ちで打ち倒した。あの時はフアンホセ・コーボで、今日はナイロ・キンタナだった。マイヨ・ロホは極めて冷静に背中に張り付き、完璧に状況を制御し、危なげなく首位を守った。
カンタブリアの海岸でゆっくり休息を取り、生気を取り戻したプロトンは、いつも以上にハイスピードで走りだした。序盤1時間の走行時速は約50kmにまで達し、最終的には時速44km以上でフィニッシュまで駆け抜けた。猛烈なアタック合戦はスタート後のまるまる1時間続き、ついに23選手がエスケープへの切符をもぎ取った。
大きな逃げ集団は、いわゆる「常連」揃いだった。ヤン・バークランツは4回目の挑戦で、しかも3ステージ連続だった。ピエール・ローランとアクセル・ドモンのフレンチコンビは、今大会3回目の挑戦となった。そもそも約半数が2回目のトライだった。そして、いつも通り、総合系チームは一切紛れていなかった――実際に今大会は、モヴィスター チーム、チーム スカイ、オリカ・バイクエクスチェンジ、ティンコフの4チームは、1度も逃げにトライしていない――。今回こそは逃げを成功させたい、そんな野望を抱いた男たちがずらり揃った前方集団は、後方に5分程度のリードをむしり取った。
補給地点を過ぎると、しかし、逃げ切りがはかない夢であったことを悟ることになる。休息日中に「総合優勝の可能性はもはや薄いだろう」と、いわゆる敗北宣言を出したアルベルト・コンタドールが、せめて区間勝利を手に入れようと……、チーム総出で追走に取り掛かったのだ!
逃げ集団との差を急速に詰めていった。90km地点で5分あった違いは、65kmで2分15分まで縮まった。あまりに早く吸収しすぎてもならない、というセオリーにしたがって、そこから20kmほどは同じ距離を保ち続けた。その後改めて、蛍光イエローの隊列は、本格的な吸収作業に取り掛かった。
猛烈にタイム差が縮んでいく中で、前方の23人からは、小さな抵抗を試みる者たちもちらほらと出現した。結局のところは、最終峠ペニャ・カバルガまで協力しあうしか道はなかった。そしてプロトンに約20秒先んじて、激坂へと突っ込んだ直後に、ばらばらと砕け散っていった。休息日前日にも逃げに乗り、休息日翌日のこの日は最後まで粘り続けたベン・ヘルマンスも、山頂の手前3kmでついに引きずり降ろされた。
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