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サイクル ロードレース コラム 2017年1月13日

【ツアー・ダウンアンダー プレビュー】山頂フィニッシュとボーナスタイムを巡る戦い、世界王者サガンが新チームの一員として参戦

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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新しい年を迎えてわずか2週間。自転車ロードレースの新シーズンが、ツアー・ダウンアンダーと共に早くも幕を開ける!真夏のオーストラリアに、世界最高峰のプロトンが集結し、6日間のステージレースで全速力のバトルを繰り広げる。

その前に、まずは1月15日(日)の、「前哨戦」ピープルズ・チョイス・クラシックで脚試し。平坦な周回コースで争われるスプリンターズクリテリウムは、選手にとっては来る本番に備えて汗をかく絶好の機会であり、なによりファンにとっては、大いに目を見開くべき時間となりそう。

なにしろシーズン一発目のレースだけに、確認すべきことは山ほどある。たとえばワールドツアーのチーム構成。昨年と同じ全18チームだが、新しく誕生したチームが1つ(バーレーン メリダ プロサイクリングチーム)、プロコンチネンタルからの昇格が1つ(ボーラ・ハンスグローエ)。メインスポンサーの変更に伴い、名前が完全に変わったチームも2つある(ジャイアント・アルペシン→チーム サンウェブ、ランプレ・メリダ→UAEアブダビ)。ジャージのデザインやカラーも、マイナーチェンジから完全なるリニューアルまでさまざまだ。今後の快適な観戦ライフのために、早めにジャージの特徴を瞳に記憶しておこう。

あの選手は本当にあのチームへ移籍したんだな……、とか、あの選手があの選手と一緒に走っている……とか、そんな実感をしみじみ抱けるのも、やはりシーズン初戦ならでは。ちなみに世界チャンピオンのペーター・サガンは、新たなボーラ・ハンスグローエの一員として、黒いジャージに囲まれて走る。我らが日本の新城幸也は、ジョヴァンニ・ヴィスコンティやヤネス・ブライコビッチと並んで、バーレーン・メリダの赤いジャージ姿をお披露目する予定だ。

オークル色の総合リーダージャージを奪い合う戦いには、17日(火)から突入する。2017年で第19回大会を迎える南半球最高レベルの自転車レースは、2008年に欧州以外で初めてプロツール(現ワールドツアーの前身)の仲間入りを果たした。以来、登録レースが37に拡大した今年まで、変わることなくワールドツアーのシーズン初戦の大切な役割を担っている。

一方でレースの中身は大きく進化した。かつてはアンドレ・グライペルが区間18勝・総合優勝2回を誇るなど、俊足スプリンターたちの主戦場だった。ただし2012年にウィランガ・ヒル山頂フィニッシュが組み込まれると、状況は大きく変わる。登坂距離3.5㎞、平均勾配7.5%の上りを攻略しようと、パンチャーやヒルクライマー、さらにはグランツール総合ライダーたちがこぞってオーストラリアに詰めかけるようになったのだ!

2012年にアレハンドロ・バルベルデが初の山頂王者になって以来、2013年サイモン・ゲランス、2014〜2016年リッチー・ポートと、この山は名高い実力者たちの手に落ちてきた。昨大会はこのウィランガを勝ち取ったポートが、総合首位へ9秒差にまで迫った。ただしアップダウン区間を2つ仕留めたゲランスが、大会史上最多の総合4勝目をアデレードで祝っている。ちなみに2013年にはウィランガを制しながら、ゲランスは総合優勝を逃しており……。

そう、奇妙なことに、過去5年間、ウィランガとツアー・ダウンアンダー総合を同時に制した者は存在しない。2017年大会も全6ステージ中、この鍵となるウィランガ・ヒルは第5ステージに登場するが、つまり決してこの最難関「クイーンステージ」だけで総合争いがあっさり決まってしまうわけではないのである。

だからこそ、初日から最終日まで、1日たりとも目が離せない。第1ステージは序盤に山岳が組み込まれている。第2ステージは軽めの上りフィニッシュだし、第3ステージはたくさんの上り下りを経た後に、世界選手権顔負けのアップダウン周回コースでのスピード勝負が待っている。ウィランガ前夜も上りフィニッシュだから、パンチャーたちが「ペダル」でほんの数秒でもライバルを突き放そうと、思い切りダッシュをかけてくるに違いない。しかもステージ上位3人&中間スプリント上位3人には、ご褒美として貴重なボーナスタイムも与えられる。

大会4勝のゲランスは、間違いなくこんなダウンアンダーの戦い方を熟知している。地元オージーとして、総合5勝目を狙ってくるはずだ。しかもチームメートにはヒルクライマーのエステバン・チャベス、さらにスプリンターのカレブ・イーウェンと、チームのオリカ・スコットはあらゆるステージで勝てる体制を整えている。

3年連続でウィランガ王者に輝き、4年目の正直を期すポートや、BMCのチームメートにして2015年王者のローハン・デニス、また2013年大会を制したトムイェルト・スラフテールも、優勝候補に名を上げられる。パンチ力のあるヒルクライマー、ウィルコ・ケルデルマンやロベルト・ヘーシンク、さらにはグランツールGCライダーとして着実に成長を続けるゲラント・トーマスの走りにも注目したい。

もちろん世界中から最高の注目を浴びるのは、やはりペテル・サガンだろう。プロ入り初年度の初レースであるダウンアンダーでは、バルベルデやアームストロングと共にアタックを打ち、超がつくほどの大物っぷりを見せつけたものだった。あれから着実すぎるほどの成長を遂げた怪童は、5枚のマイヨ・ヴェールと2枚のアルカンシェルジャージを手に入れた。6年ぶりに立ち返ったオーストラリアの大地で、新しいチームと共に、新しい冒険に颯爽と乗り出す。


■ツアー・ダウンアンダー放送情報
1月15日(日)~J SPORTSオンデマンド先行LIVE配信
宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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