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サイクル ロードレース コラム 2017年3月2日

【パリ〜ニース プレビュー】ツール・ド・フランスに酷似!「ミニ・ツールド・フランス」ことパリ〜ニースで名選手達が激闘の火花を散らす!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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春を誘うレースがやってくる。寒いパリ郊外から飛び出し、ひたすら南へと走り続けた果てには、紺碧の地中海と明るい太陽が待っている。パリ〜ニース、別名「Couse au Soleil(太陽へと向かうレース)」が、3月5日(日)から12日(日)までの全8ステージで争われる。

「ミニ・ツール・ド・フランス」ともあだ名される今大会は、まさに本物のツールと同じく山あり、平地あり、激坂あり、大逃げ向け区間あり、そしてタイムトライアルもあり。あらゆる地形が盛り込まれているおかげで、今年も連日バラエティに富んだ戦いが見られそうだ。

たとえばマルセル・キッテル、アンドレ・グライペル、ジョン・デゲンコルプ、アルノー・デマール、ナセル・ブアニ、ブライアン・コカール、マイケル・マシューズ、……といった有名スプリンターたちが俊足っぷりを発揮するのは、おそらく週の前半だ。初日はベルサイユ城のお隣、いや、自転車業界的に言えばむしろ2015年トラック世界選手権の会場(ちなみにコカールが同大会マディソンで世界チャンピオンに)のすぐ脇を起点に、大きな輪を描くコース。フィニッシュ直前に小さな坂道が待ち受けているから、パンチャーのアタックには注意したい。一気に南下する2日目・3日目も、スプリンター有利。ただし美味しいワインの産地をたくさん通る第3ステージは、終盤に2級峠が登場する。山を乗り越えられた者だけが、ラストストレートで加速を切ることを許される。

総合争いは第4ステージから本格化する。14.5㎞と極めて短い個人タイムトライアルながら、ラスト3㎞は平均7.7%の上り坂!ぶどう畑で覆われたモン・ブルイィーの、モンテ・ド・ラ・シャペル(教会坂)の九十九折は、上れば上るほど勾配が増していく。ラスト1㎞は9.3%にまで跳ね上がる。この3㎞でどれだけタイム差がつくだろうか。ちなみに同地は1年前の第3ステージフィニッシュ地に指定されたが、悪天候のせいでステージ自体がキャンセルとなっている。

ところでグランツールライダーだけでなく、クラシックハンターが総合に食い込むことが多いのもまた、パリ〜ニースの面白いところ。なにしろ細かな起伏に覆われた長い第5ステージを、例えばトマス・デヘントのような逃げ巧者にたっぷり盛り上げてもらった翌日には、パンチャー向きの激坂が待ち受けている。一気に南仏へと移動したこの日、いきなり1級登坂から始まり、ステージ後半には上りが5つ詰め込まれた。1級ブリガイユ峠を2回上り下りした後に、いわゆるパリ〜ニースの伝統的ステージ地であるファイヤンスに入場する。プロトンがたどり着く頃は、きっと木蓮の蕾も大きく膨らんでいるのだろう。そしてフィニッシュはもちろん、「おなじみ」の激坂。登坂距離は1.3㎞、平均勾配は9.8%。いわゆるアルデンヌクラシックを思わせる坂道だからこそ、やはり2016年フレーシュ・ワロンヌ表彰台のアレハンドロ・バルベルデ、ジュリアン・アラフィリップ、ダニエル・マーティンの三者から目が離せない。

本格派ヒルクライマーの出番は第7ステージにとってある。ニースからスタートして、アルプス南部へと向かう道には、登坂距離の長い1級峠が3つ待ち構えている。ステージ序盤にヴァンス峠(登坂距離9.7㎞、勾配6.6%)、終盤にサン・マルタン峠(7.5㎞、7.2%)をこなした後、フィニッシュ地のクイヨル山頂(15.1㎞、7.1%)へ。フィニッシュラインは標高1678mに引かれており、意外にも、第75回大会を迎えたパリ〜ニースにとって史上最標高フィニッシュなんだとか!2017年のグランツールで総合優勝&表彰台を狙う面々、つまりアルベルト・コンタドール、ロマン・バルデ、リッチー・ポート、サイモン・イェーツ、ピエール・ローラン、アンドリュー・タランスキー、ワレン・バルギル、ステーフェン・クラウシュヴァイク、イルヌール・ザッカリンetc.の直接対決が見られるに違いない。

最終日もニースからスタートし、ニースへとプロトンは帰ってくる。上りと下り満載のトリッキーなコースは、例年、驚きと興奮に満ちている。逆転総合優勝を目指して無謀なアタックを仕掛けたり、恐ろしいダウンヒルを繰り出したり。クライマーにもパンチャーにも攻略可能な第8ステージで、どんでん返しに次ぐどんでん返しもあり。鷹の巣村エズ峠からの細く曲がりくねった坂道を下り降りるまで、勝負の行方は分からない。

さて、最終週末の2日間は、両日共に地中海岸沿いの道プロムナード・デ・ザングレ(英国人の散歩道)もコースとして使用される。ただし最終フィニッシュが引かれるのは、この道ではない。いつもと同じ場所ではない。2016年7月14日の革命記念日の夜に、つまりツール・ド・フランスの真っ最中に、プロムナード・デ・ザングレは凄惨なテロの舞台となった。「良識」「尊重」「追憶」を理由に、最終日の歓喜の瞬間は、別の場所で迎えることになった。地中海岸をほんの少し東に行った、ケ・デ・ゼタジュニ(米国岸)にて、2017年パリ〜ニースは締めくくられる。


■パリ〜ニース放送情報
2017年3月5日(日)~12日(日)全ステージ生中継!
宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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