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写真:今大会初優勝したペーター・サガン
スタートからフィニッシュまで、まさしくアルデンヌクラシック風のコースで、「現時点では」どちらかと言えばフランドル派のペーター・サガンが勝利を上げた。最終坂で力試しを仕掛けた総合本命たちや、並み居る起伏スペシャリストたちを退けて、世界チャンピオンの実力を思う存分に誇示した。ペダルが外れるハプニングさえ、サガンにとっては、ちょっとした逸話に過ぎなかった。
アルデンヌクラシックの王、フィリップ・ジルベールの故郷から走り出し、リエージュ~バストーニュ~リエージュをキャリアを通して愛し続けたアンディ・シュレクの母国を駆け抜け、そしてツール・ド・フランスの本国フランスへと帰り着いた。嬉しいことに、すでに長い長い夏休みに突入したバカンス大国への帰還に合わせて、本格的な夏もやって来た。強い陽光と、青い空と、そして色とりどりのジャージたち!
開幕からの2日間、冷たい雨や落車に苦しんできた選手たちも、ようやく思いっきり弾けることができた。上下左右にうねりの効いた道で、本スタートの旗が振り降ろされると同時に、めくるめくアタック合戦の火ぶたが切って落とされた。
積極的に仕掛けたのは、やはりロット・ソウダルとワンティ・グループゴベールのベルギーチームだった。ディレクトエネルジー やチームフォルテュネオ・オスカロというフレンチ集団も、代わる代わる加速を切った。前夜に大会初のマイヨ・ア・ポワを手に入れたキャノンデール・ドラパック プロフェッショナル サイクリングチームも、コース上に5つの山岳ポイントが散らばるこの日も、改めてジャージへの意欲を示した。トーマス・デヘント、トマ・ヴォクレール 、シルヴァン・シャヴァネルといった現役指折りの大逃げ巧者も、幾度も前線に現れ出ては、逃げ切りを許すつもりのないプロトンから引きずり降ろされた。最終的にはスタートから13kmで、上記5チーム+チーム カチューシャ・アルペシンの6人が、先行を認められた。
ニルス・ポリッツ、アダム・ハンセン、ロマン・アルディ、ネイサン・ブラウン、ロメン・シカール、フレデリック・バカールトの6選手が行ってしまってからは、マイヨ・ジョーヌ擁するチーム スカイが隊列を組んだ。さらにはボーラ・ハンスグローエ、クイックステップフロアーズ、チームサンウェブも1人ずつ最前列に送り込んだ。前方集団には常に1分半から2分程度のタイム差しか与えず、後方からリモートコントロールに勤しんだ。
地形だけではなく、距離さえもクラシック並みに長いステージの終盤に、トーマス・デヘント、リリアン・カルメジャーヌ、ピエールリュック・ペリション がブリッジを試みた。それぞれにチームメートが待つ前方集団に合流した途端に、カウンターを食らわせた。うんざりするほど繰り返されるアップダウンにも負けず、カルメジャーヌが最後まで抵抗を続けもした。1年前の晩夏にブエルタで初出場初区間勝利を果たし、この夏は母国のグランツールデビューに心躍らせた24歳は、しかし目的地まで10㎞を残して、集団の勢いに飲み込まれていった。
ディフェンディングチャンピオンのクリス・フルームが語ったように、「ラスト30㎞は、ひどく猛烈なバトルが繰り広げられた」(フィニッシュ後TVインタビューより)。ナーバスなスピードの塊となった集団は、ただひたすら、全長1.6㎞の最終坂の入り口にいかに好位置で侵入できるか……というバトルに専念した。コース序盤でスパ・フランコルシャンのモーターサーキットを駆け抜けた集団の中で、最後のポールポジションを取ったのは、ビーエムシー レーシングチームだった。
「登坂口でのクリスは、大体20番目くらいの位置につけていた。そこから、彼を前に上げるために、僕らチーム全体で大いに力を尽くした。それにしてもポートのアタックはすごかったね。絶好調であることを見せつけたし、素晴らしくアグレッシブだった」(ゲラント・トーマス、公式記者会見より)
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