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サイクル ロードレース コラム 2017年7月5日

ツール・ド・フランス2017 第4ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:ゴール前での落車

右フェンスぎりぎりのラインを上がっていたカヴェンディッシュの上体が、すぐ左隣のサガンに接触する。世界チャンピオンは反射的に右ひじを強く突き出した。フェンス側にカヴェンディッシュは押し返され、そのまま右半身から倒れ込んだ。真後ろにいたアドリアン・プティはギリギリで難を避けたが、むしろその後ろのジョン・デゲンコルブとベン・スウィフトが、地面に転がり落ちた。

背後で起こったカオスを尻目に、デマールがクリストフの背後から飛び出した。そのまま先頭を突っ走ると、フィニッシュラインで力強く両腕を突き上げた。フランス国内ではトップスプリンターの名をほしいままにし、1年前にはミラノ~サンレモでモニュメントさえ制した25歳が、5度目のグランツール挑戦でようやく嬉しい1勝目を手に入れた。

「個人的には、サンレモ勝利と同じくらい、価値ある勝利だと思っている。でも大多数の人たちにとっては、やはりツール・ド・フランスのほうが、何か意味のあるものなんだ。この大会は知名度がずば抜けて高いし、それに自転車ファン以外の人々の目にも留まる。だから一般的に考えれば、この勝利はとてつもなく凄いもの。でも僕にとっては、サンレモの勝利こそが、僕自身に大いなる自信を植え付けてくれた。それが、今回の勝利につながった」(デマール、公式記者会見より)

ちなみに、デマールの動きも、小さな不満を作り出した。なんでも「クリストフに進路を塞がれるのが怖かった」というフランスチャンピオンは、左方向へと斜行気味に加速した。行く手を阻まれ、ナセル・ブアニはブレーキをかけた。そのブアニとアンドレ・グライペルも軽く接触し、やはりドイツ人も減速を余儀なくされた。



写真:落車した後にゴールするカヴェンディッシュ

プロトン唯一の「地元ヴォ―ジュ出身選手」であり、デマールの「因縁のライバル」は、直後のレース振り返り番組にゲスト出演して「奴に前輪をハスられて、後輪ブレーキを慌ててかけた。それで終わりさ」と語った。一方のグライペルは、「そもそも昨日の中間スプリントでも、サガンは僕に同じようなことを仕掛けてきた。王様気分だ」(ベルギーTVインタビューより)とサガンに対して苦言を呈した。ただ当夜にツイッターで、「時には映像を見てから発言すべきかもしれないね。サガンに謝罪したい。審判の下した処分は厳しすぎると思う」と前言を撤回している。

その「審判の下した処分」とは、サガンの大会失格処分だった。2番目にフィニッシュラインを越えた世界チャンピオンには、レース直後に、まずは降格処分が与えられた。危険行為があったとして、同タイムフィニッシュ集団内における最下位(115位)に降格され、総合タイムに30秒のペナルティが課され、さらにマイヨ・ヴェール用のポイントが80点減点された。しかしその後、失格処分へと切り替えられた。つまり世界チャンピオンの2017年ツールはわずか4日で幕を閉じた。区間を1つ制したが、6年連続のマイヨ・ヴェール獲りは不可能となった。この処分に関してはメディアやファンの間で様々な議論が巻き起こり、所属チームのボーラ・ハンスグローエは、処分に公式に抗議する旨の文書を発表している。

また、カヴェンディッシュは右肩を骨折し、右手人差し指も負傷。フィニッシュラインは越えたものの、残念ながら、翌第5ステージのスタートラインに並ぶことはない。

☐ ツール・ド・フランス 2017
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宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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