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サイクル ロードレース コラム 2017年7月8日

ツール・ド・フランス2017 第7ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:逃げ続ける4人の選手

残り3600mで、少々クレイジーで、危険な動きが目に留まった。緑ジャージ姿のアルノー・デマールと、平坦ステージ時は必ず真っ赤なワンピースを着用しているナセル・ブアニが、激しく肩と肩をぶつけ合ったのだ!!やれやれ、宿敵の2人は、相変わらずである。今大会も第2ステージ後にフランステレビの生中継でブアニがライバルを糾弾し、第6ステージ後にはイタリアテレビの生中継でデマールのアシストが他方を非難して……。第3ラウンドは200スイスフランの罰金で喧嘩両成敗となった。

ちなみに両者ともに、この第7ステージは勝負に上手く絡めなかった。連日のスプリントとインタビュー攻めで疲労がたまり、体調不良で眠れない夜を過ごしたデマールは、後方であえて少し緩めに走った(そのせいでフィニッシュ後は緑から、青白赤のトリコロールジャージに着替えた)。ブアニは一時はキッテルの後輪に上手く滑り込んだが、抜け出せないままだった。クリストフはラスト1kmから風に直接さらされる時間が多すぎたし、グライペルは後方から飛び出すのが遅すぎたし、マシューズは勝利に迫ったが、軌道変更がわずかなタイムロスにつながった。

つまりニュイ・サン・ジョルジュにおける史上初めてのツール区間勝者として、フィニッシュライン上で競り合ったのは2選手だった。1人目はエドヴァルド・ボアッソンハーゲン。前日は超ロングスプリントに打って出たが、13位に甘んじた。この日は対照的に発射台付きで前に駆け上がると、ラスト200mで加速を切った。そしてもう1人は、もちろんキッテル。ラスト1kmのフラム・ルージュまで3人のアシストに付き添われ、万全の態勢でスプリントへと向かった。しかも勘の良さも発揮して、臨機応変に立ち回った。残り450mで、ボアッソンハーゲンの後輪に飛び乗ったのだ。

思わず歯を食いしばりたくなるような、力と力のぶつかり合いだった。ラインへ向けて両者互いにハンドルを投げた。肉眼では、同時フィニッシュにしか見えなかった。いや、たとえフォトフィニッシュでも、画像を最大限に拡大してようやく、小さな差の存在が浮き上がって来たほどだった。判定の結果、キッテルに軍配が上がった。距離にしてわずか6ミリ差、時間にして0.0003秒差。あまりに小さく、あまりに大きな溝が、ボアッソンハーゲンとキッテルの間を隔てた。

「幸いにも僕は、歓喜する側に立った。ハンドル投げに有利な、長い腕を持っていて良かったよ!」(キッテル、公式記者会見より)

今大会3勝目にして、ツール通算12勝目は、キッテル自身も「キャリアで最も僅差の勝利」だと断言する。ポイント賞争いでもデマールを15ポイント上回り、緑色のジャージを取り戻した。もしかしたらパリに初めてのマイヨ・ヴェールを持ち帰ることができるのではないか――しかも5年連続受賞者のペーター・サガンが大会を去ったことだし――、という周囲の期待には、あくまでも慎重に対応する。

「まだパリまで道のりは長い。大会は1週間を終えたばかり。だから、ジャージに関しては、2回目の休息日になってようやく確実な話が出来ると思う。それまでは、ただ、一瞬を、一勝を、大切にしていくだけ」(キッテル、公式記者会見より)

それに翌日からは、いよいよ、本格的な難関山岳へと放り込まれる。マイヨ・ジョーヌで2日間過ごしたクリス・フルームも、週末の本格バトルへ向けて気合を引き締める。

「間違いなく厳しい2日間になるだろう。ファビオ・アルから目を離してはならない。それから、日曜日のステージは、ロメン・バルデにとってはいわゆる地元。何か仕掛けてくるはずだ。土曜日よりも、日曜日こそ、総合が大きく動くステージとなるだろう。僕のリードはほんのわずかだけれど、総合ライバルに、マイヨ・ジョーヌを手渡すつもりはないよ」(フルーム、ミックスゾーンインタビューより)


 
写真:友人と談笑しながら走るマイヨ・ジョーヌ

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宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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