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サイクル ロードレース コラム 2017年7月9日

ツール・ド・フランス2017 第8ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:ハイスピードで進行するステージでの新城幸也

バルギルの攻撃に続く離合集散の流れには、最初こそ乗り遅れるも、2級峠への上りでブリッジを成功させた。バルギルの残り2回のアタックでは、それぞれワンテンポ後れを取りつつ、自分のペースで必ず追いついた。2016年ブエルタでプロ1年目・グランツール初体験にして初めての区間勝利をモノにした山岳巧者にとって、この日最後の峠まできて、ようやく自らのカードを切るタイミングがやって来た。

実は昨ブエルタでは、いまだ「無名選手」だったネオプロのアタックに、誰も真剣に反応しようとはしなかった。慌てて追いかけた時には、もはや取り返しのつかないほど距離が開いていた。一方の今回は、今季ステージレース総合3勝の実力者を、誰もが警戒していた。しかしフィニッシュまで18km、つまりスタートしてから169.5km地点。カルメジャーヌが渾身の加速をお見舞いすると、全てが決まった。初めてのツール区間勝利へ向かって、もはや邪魔するモノなど何一つなかった。

目まぐるしく展開が変わり続けた今区間にふさわしく、最後にちょっぴり、サスペンスの時間も演出された。ラスト5km、若者のペダリングが突如、リズムを失ったのだ。ほんの数十秒ほど後方から、やはり昨秋のブエルタでプロ10年目・グランツール出場12回目にして初めての区間勝利を手に入れたロベルト・ヘーシンクが、がむしゃらに追いかけてきていたというのに!

「僕はめったに痙攣なんてしないのに、今日は両腿がいっぺんに攣ったんだ!腿の裏側だった。ただツール・ド・ランで、同じような経験があった。さもなければきっと、そのまま大ギアで回すことにこだわったと思うし、最悪の事態を招きかねなかった。いや、もしかしたら、足を止めていたかもしれない。でも、今回の僕は、こんな時は小さいギアに落として、リズムをゆっくり回すべきだと分かっていた。幸いにも上手く効果が出た。痛みも引いて、再び普通に走り出すことが出来た」(カルメジャーヌ、優勝記者会見より)

ヒヤリとしただけ、勝利の喜びも大きかった。最後は無邪気に腕をぐるぐる回しながら、満面の笑みでフィニッシュラインを越えた。初めての山岳賞と、今大会2度目の敢闘賞も一緒についてきた。地元フランスのファンたちは大騒ぎで、ヴォクレールの後継者=大逃げ巧者、いや、むしろベルナール・イノーの後継者=マイヨ・ジョーヌ候補か、と楽しげな議論が早速渦巻いている。

「僕は未来のイノーなんかじゃない。僕がむしろ見習いたいのは、トマ・ヴォクレール。彼は喜びを感じつつ、堂々たる走りを披露できる選手だ。今日の僕も、大いに喜びを感じたよ。たとえ、同時に、ものすごく苦しんだとしても」(カルメジャーヌ、優勝記者会見より)

37秒後にヘーシンクが区間2位で終え、50秒後には、38人のマイヨ・ジョーヌ集団がラインに滑り込んだ。クリス・フルームとゲラント・トーマスが下り中に道を外れるという事件もあったが、幸い共に、両者ともケガなく無事に乗り越えた。長時間続いた熾烈な飛び出し合戦を、上手く背後で制御しつつ、チームスカイは黄色で過ごす7日目のレースをつつがなく終えた。



写真:終盤、独走態勢を固めたカルメジャーヌ

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宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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