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サイクル ロードレース コラム 2017年7月10日

ツール・ド・フランス2017 第9ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:中盤のクリス・フルームとヤコブ・フグルサング

幸いにも騒ぎが大きくなる前に、アルはすぐに加速を停止した。アシスト3人に助けられて、フルームはライバルたちの待つ集団に合流を果たした。入れ替わるように、ヤコブ・フグルサングがカウンターアタックを仕掛けた。まさに1か月前のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネと同じく、アスタナのダブルリーダーは、波状攻撃でライバルたちを揺さぶりにかかった。そして、まさしく、メイン集団がドーフィネ覇者を夢中で追走している間に、コンタドールの姿は後方へと消えていった。

キンタナが脱落したのは、アルがさらなる加速を試み、ポートが4回もカウンターをお見舞いし、フルームが珍しいダンシングアタックを繰り出した後だった。5月のジロで総合2位に収まったコロンビア人は、総合ライバルから1分15秒(+ボーナスタイム)を失うことになる。

モン・デュ・シャ、いわゆる猫山のてっぺんをバルギルが首位通過したわずか12秒後に、フルーム、アル、ポート、フグルサング、マーティン、バルデ、ウランと7人に絞り込まれたマイヨ・ジョーヌ集団が最後の下りへと突っ込んだ。上述の通り、テクニカルな下りの最中に、ポートは落車リタイアし、マーティンは後方退却を余儀なくされた。その余波で、しかも、ウランの自転車のギアが破損した。以降フィニッシュまで、後の区間勝者は、53/11か39/11かの2択のみで走る羽目になった。

あまりにもたくさんのことが起こりすぎた1日の終わりに、残り18km、バルデも果敢に単独アタックに打って出た。ライバル集団からするりと抜け出すと、前方を逃げていたバルギルと合流し、一旦は協力態勢を選んだ。

しかし後方ではフルームが積極的に先頭交代に加わり、昨大会総合2位にリードを与えようとはしなかった。わざわざ自分を待ってくれたバルギルを見捨て、バルデはさらに先を急いだが、ただ「大きな後悔と失望」(TVインタビューより)だけが残った。フィニッシュ手前2.2km、バルデは回収された。

一方のバルギルはフラストレーションを抱くことになる。スプリントでもがき、フィニッシュラインでは勝利のガッツポーズさえ突き上げた。……実際は、人生初めてのツール区間勝利に、わずかに届かなかった。フォトフィニッシュの判定により、酷な敗北を宣告された。

「本当にがっかりだ。フィニッシュは軽くカーブしていて、内側の方が走行ラインは短かった。そのせいで僕のライン通過はわずかに遅れた……」(バルギル、ミックスゾーンインタビューより)

ジロでは2度の区間勝利を経験しているウランにとっても、ツールでは初めての区間勝利だった。なにより、この日の荒れた展開の果てに、総合11位から4位へと一気に浮上した。今季はグランツール総合狙いはいったんお休み……のはずだったけれど、ジロ総合2位×2回の実力者は、今後は表彰台候補の一角としてみなされることとなりそうだ。

総合トップ10でトーマス、ポート、コンタドール、マイカが消えた穴に、ウランと並んで、フグルサング、ミケル・ランダが滑り込んだ。もちろんフルームの首位は揺るがず。むしろ区間3位に喰い込み、ボーナスタイムを4秒獲得し、総合2位アルに対するリードを14秒→18秒とわずかながら開いた。バルデは区間4位で終え、第1回目の休息日を前に、総合は7位から3位へとジャンプアップを実現させた。

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宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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