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サイクル ロードレース コラム 2017年7月17日

ツール・ド・フランス2017 第15ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:新人賞リーダーをキープするイェーツ

実のところ、Ag2rの狙いは、堅固なチームに守られたフルームを突き放すことではなかった。むしろ表彰台の「直接的ライバル」であり、チーム力に不安のあるファビオ・アルやリゴベルト・ウランを振り払うことだった。ところが、この攻撃で、脱落していったのは目標とした2人ではない。過去3回のツール出場を、全て表彰台の上で終えてきたキンタナだった。

「気持ちは、たいてい、肉体が出来る以上の物事を成し遂げたいと願うもの。でも、肉体は、動きたくないわけではなくて、単純に、その願いに応えられないだけなんだ」(キンタナ、チーム公式リリースより)

コロンビアのヒルクライマーは、今季開幕時には、ジロ&ツールの同一年制覇を目論んでいた。ただし今ジロを総合2位で終えた後、ツールでも思ったような走りを実現できずにいた。それでも、総合で4分1秒の遅れを、2日前の攻撃的走りで、一旦は2分07秒まで縮めていたのだけれど……。この第15ステージの失速で、総合では6分16秒遅れへと一気に後退。ダブルツールどころか、ツール4度目の表彰台さえ絶望的になってきた。「総合ライダーの多くが、キンタナの後退を喜んだんじゃないかと思う」と公式記者会見で語ったフルームこそが、おそらく、一番ほっとしているのだろう。

あまりにたくさんのバトルが繰り広げられた。バルデは上りで単独アタックにも転じたし、新人賞ジャージをまとうサイモン・イェーツは、最終盤に独走を試みた。ただ結局のところ、総合勢の試みで実を結んだのは、ダニエル・マーティンの特攻だけだった。


「1級の上りはあまりにも厳しかった。誰もが全力だった。だから集団の中にちょっとしたためらいが感じられた。誰も前に行けないのだ、と察知した。みんな疲れていた。だったら、僕自身がトライしてみようじゃないか、と思ったんだ」(マーティン、フィニッシュ後インタビューより)

まさしくマーティンの読みは当たった。総合6位が飛び出しても、ライバルたちはきょろきょろと顔を見合わせるだけ。後を追って飛び出す勇者もいなければ、追走のイニシアチヴを取る選手もいない。ただランダだけが、総合5位として、いや、むしろフルームのアシストとして、追走作業に従事した。最終的に逃げ集団の残党と一緒にフィニッシュラインへと滑り込んだマーティンは、自らよりも総合上位の選手、つまり首位フルーム、2位アル、3位バルデ、4位ウランからそれぞれ14秒ずつを奪い取った。マイヨ・ジョーヌまで1分12秒差、表彰台まで43秒差に接近し、ランダを逆転して総合5位にも浮上した。

その上の4人の関係は、前日と一切変わらなかった。休息日1日と最終週の5ステージを残して、タイム差29秒以内にひしめき合ったままだ。

「今までのツール以上に、プレッシャーを感じている。かなりの僅差だからね。ただ今年のコースが発表された時点で、こういう状況になるだろうことは予測していた。タイムトライアル距離が短く、山頂フィニッシュも少ないから、大きなタイム差をつけられる機会がそもそも少ないんだ。でも、3週目にはアルプスの大山岳ステージと、個人タイムトライアルが待っている。今からタイム差をつけるチャンスがやって来る」(フルーム、公式記者会見より)

☐ ツール・ド・フランス 2017
ツール・ド・フランス2017 7月1日(土)~7月23日(日)
全21ステージ独占生中継!

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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