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写真:この大会2勝目をあげたマシューズ
チームサンウェブがとてつもない力比べを挑んだ。マイヨ・ヴェールを蹴落とし、逃げを飲み込み、横風の分断にも上手く乗り、フォトフィニッシュの果てに区間も制した。マイケル・マシューズが自身にとって2つ目の、チームにとっては3つ目の区間勝利をもたらした。イタリアからピンク色を持ち帰ったドイツチームは、7枚目の赤玉を回収し、緑にも29pt差に近づいた。黄色の争いは上位4人の僅差に変わりはなかったが、数人の総合上位が横風に吹き飛ばされた。
小雨のデュッセルドルフから走り出した198人のプロトンは、174人で猛暑のフランス南部にたどり着いた。2回目の休息日を終えて、2017年ツールも残り6日間。難関山岳2日、個人タイムトライアル1日、パリでの最終大スプリント1日……と考えると、集団の大部分の選手にとって、本気で区間勝利を狙えるのは実質2日しかない。ステージ前半は大逃げ向きであり、後半はスプリンター向けでもあった。だからこそスタート直後から、あまたのアタックが巻き起こった。大逃げ職人のシルヴァン・シャヴァネルやトーマス・デヘントが飛び出しては吸収され、吸収されては飛び出しを試みた。
真っ青な空には雲ひとつなく、ただ風がひどく強かった。新城幸也によれば「右から吹いてくる風が、山肌にぶつかって、左から吹き返してくるような」、そんなクレイジーな風だった。一時は5人の逃げが出来上がり、最大1分ほどのリードを得た。しかし、スタートから20.5km地点に待ち受ける小さな3級峠が、とてつもない曲者だった。
大きな逃げに紛れてマシューズが飛び出しを試み、ポイント賞2位のマシューズの逃げを潰すためにポイント賞首位マルセル・キッテルの同僚ダニエル・マーティンが加速し、総合4位のマーティンの逃げを潰すためにマイヨ・ジョーヌ擁するチーム スカイが隊列を組み……。そんな加速の繰り返しに疲れ、強風に煽られて、肝心のマイヨ・ヴェールがじわじわと集団からずり落ちていったのだ!
絶好機をサンウェブは見逃さなかった。メイン集団前方へ全員で競り上がると、毅然として、高速牽引へと着手した。前方で逃げる5人を非情にも追い上げると、最後まで無駄な抵抗を続けたシャヴァネルも飲み込み、そのまま恐るべき行軍を続けた。
2013年大会第7ステージで、ペーター・サガンと当時所属のキャノンデールが、同様の作戦を敢行したことがある。あの時は100km以上も高速列車を走らせ、すぐさま逃げを飲み込むと、区間勝利とポイント収集を成功させた。また新城に言わせると、2016年大会の第11ステージに似ているという。フィニッシュ手前90kmからやはりサガンwithティンコフが猛然とスピードアップし、残り60kmで逃げを回収し、強風の中でクリス・フルームとのスプリント一騎打ちを制したあの日のことだ。ただし、2017年大会は、さらに上を行くものだった。なにしろサンウェブは、約145kmもの「チームタイムトライアル」に挑んだのだから!
「キッテルは平地で最速の選手だ。平地ステージでは、おそらく僕には勝ち目がない。つまり、僕が勝とうと思ったら、キッテルがフィニッシュで勝利を争えないだろうステージで、先手を打って攻撃するしかない。だからプロトンに分断ができたとの情報を耳にして、途端に士気があがった。さらにリードを開こうと意気込んだ。まるでフィニッシュまで続く8人のチームタイムトライアルだった」(マシューズ、公式記者会見より)
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