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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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アルプスの、いや、ツール・ド・フランスでも屈指の威厳を放つガリビエから、プリモシュ・ログリッチェがとてつもなく大きなジャンプを決めた。マイヨ・ジョーヌを巡る争いもまた、ツール創始者アンリ・デグランジュの愛した巨大峠で本格的に勃発した。総合上位4人のタイム差は、29秒から53秒へとほんの少し広がった。
行く先には難峠が4つ聳え立っていた。アルプス特有の長い山道の終わりには、今大会最標高の2642m地点も待ち構えていた。来るべき戦いが、ひどい苦行になることは、誰の目から見ても明らかだった。しかし決して恐れることなく、新城幸也を含む多くの選手がアタックに挑んだ。ついには大きな33人の塊が、前線へと走り出していった。
少々後味が悪いことに、逃げグループが遠ざかっていくのとほぼ同時にスタートから20km、プロトン内で落車が発生した。マルセル・キッテルが地面に転がり落ちた。同時に落車した山岳賞首位ワレン・バルギルは、幸いにもすぐに走り出すことが出来たが、ポイント賞首位を走るキッテルは右半身を痛めた。なんとか超級クロワ・ド・フェールまでペダルを回し続けるも、ほうき車に回収されるのは、もはや時間の問題だった。
2017年大会で区間5勝をもぎ取った平地最速スプリンターは、アルプスの山奥で、自転車を降りた。キッテル本人がツイッターでつぶやいたように、「今ツールを嬉し涙で始めて、失意の涙で終えた」。
キッテルが残していった緑色のジャージは、マイケル・マシューズが受け継いだ。前夜の猛攻で29pt差にまで追い詰めたばかりだというのに、この日またしてもいわゆるオールラウンダーは33人の逃げに滑り込んでいた。
というのもスタート序盤の2級峠の後、47.5km地点に、中間ポイントが待ち受けていたから。ここで当然のように先頭通過を果たし、20ptを計上した。その後に一報が飛び込んできた。つまり残る9pt差を詰める必要は、もはやなくなってしまった。
「この20ポイントを取るために、今日も活発に動き回らなきゃならないことは、あらかじめ分かっていた。たとえこのポイントをとっても、まだ先は読めないだろうということも。それにしても、あんな風にレースを立ち去る場面は、見たくないものだね。素晴らしいバトルを経てきたからこそ、ここまでポイントを積み重ねることができた。キッテルのケガが軽いことを願ってるよ」(マシューズ、チーム公式リリースより)
マシューズは中間ポイントだけでなく、最初の2級峠さえ先頭を獲りに行った。なにしろ大きな逃げ集団には、山岳賞2位ログリッチェと、同点3位のトーマス・デヘントが紛れ込んでいた。だからチームメートであり、ツール中のルームメートでもあるバルギルのために、山岳ポイントを潰しに動いた。そのままデヘントと2人、先頭で先を急いだりもして……。
しかし、5分以上も後方のメイン集団で、新たな動きが生まれた。超級クロワ・ド・フェールの上りに差し掛かったところで、アルベルト・コンタドールが大胆に飛び出しを仕掛けたのだ!!
大きな33人の逃げには、22チーム中19チームが滑り込んでいた。不在3チームはつまりチーム スカイ、アスタナ プロチーム、クイックステップフロアーズで、一方でコンタドール属するトレック・セガフレードは、ミヒャエル・ゴーグル、ハリンソン・パンタノ、バウク・モレマの3人を送り込んでいた。
だから当然のように、グランツール総合7勝の偉大なるチャンピオン加速の知らせを受けると、ゴーグルはあえて減速し、リーダーの合流を待った。全長11.9kmのテレグラフ峠の山道では、麓から山頂まで、2日前の区間勝者モレマが力強い引きを披露した。メカトラに襲われたリーダーが、一時後方に下がっていたことさえすぐには気が付かないほど、一心不乱に。
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