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サイクル ロードレース コラム 2017年7月22日

ツール・ド・フランス2017 第19ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:ボアッソンハーゲンを先頭に走るエスケープグループ

あっさり逃げ切りが確実になった前方の20人は、終盤60kmを、たっぷりと区間優勝へ向けた駆け引きに利用した。最後の3級峠で抜け駆けする者もいた。ラスト20kmでは、横風が逃げを約半分に割いた。9人になった集団には、ラスト8kmから壮大なる牽制合戦を繰り広げる余裕さえあった。中でもオリカ・スコットの2人が居残り、危険な香りを放っていた。しかもケウケレールもミハエル・アルバジーニも、スプリントになったら怖い相手だ。

「フォトフィニッシュで負けるのは、もううんざりだった。スプリント勝負に持ち込まずに、独走で勝ちたかった」(ボアッソンハーゲン、公式記者会見より)

今大会だけで2位が2回、3位が2回と悔しい思いを味わってきたボアッソンハーゲンは、もはやスプリントフィニッシュを望んではいなかった。だからこそライバルの隙を縫って、幾度も飛び出しを試みた。しかし、厳しい警戒網を潜り抜け、純粋なるペダルの力だけで抜け出すのは、かなりの至難の業だった。いくら加速しても、すぐさま他の誰かに、後輪に張り付かれるだけ。

そんな中、ボアッソンハーゲンには秘策があった。フィニッシュラインまで3kmの地点に待ち構える、ロータリーだ!

「あそこにロータリーが登場することは知っていた。今朝、レース前に、チームみんなでフィニッシュに向かうコースをビデオで確認したからね。その時に監督から、右側を通るように言われた。まさに、それが、上手くいった。ニキアス・アルントを除く全選手が、左側を通ったからね」(ボアッソンハーゲン、公式記者会見より)



写真:ステージを走り終えたフルーム

たしかに右周りの方が、ほんの少しだけ、走行距離は短かった。しかもロータリーの70mほど手前から、コース上の中央分離帯には縁石が連なっており、突入時にとっさに右か左かを選べる状態ではなかった。つまりこの日のボアッソンハーゲンは、地図と距離をしっかり頭に叩き込んでいた。白熱したレースの真っ最中に、作戦を敢行するだけの冷静さを保っていた。

「他のチームが同じようにルートチェックをしたかどうかは分からないけど……。レース中には時に、朝のミーティングで指示されたことを忘れてしまったりするものだし、無意識に他の選手と同じ軌道を選んだりするものなんだ。でも今日の僕は、幸いにも、朝言われたことを忘れなかった。正しく行動をすることが出来た」(ボアッソンハーゲン、公式記者会見より)

あとはアルントを振り切って、独走態勢に持ち込むだけでよかった。たとえフォトフィニッシュで負けた直後でも、決して優しい微笑みを絶やさなかったノルウェーの才能が、心からの笑顔をフィニッシュラインで振りまいた。2011年大会でステージ2勝を挙げて以来となる、実に6年ぶりのツール区間勝利だった。

ボアッソンハーゲンから遅れること12分27秒。逃げに乗った20人と、リタイアした2人を除く、147選手全員が長い1日を終えた。クリス・フルームから総合で23秒遅れのロメン・バルデも、29秒遅れのリゴベルト・ウランも、攻撃的な動きは一切見せなかった。ツール史上まれに見る僅差での優勝争いは、翌第20ステージの、22.5kmの個人タイムトライアルで全てが決する。

「明日のレースは絶対に負けてはならない。勝つ必要はないけれど、絶対に負けちゃダメなんだ。コース上で全力を尽くして、あとは結果を待つだけさ」(フルーム、公式記者会見より)

☐ ツール・ド・フランス 2017
ツール・ド・フランス2017 7月1日(土)~7月23日(日)
全21ステージ独占生中継!

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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