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サイクル ロードレース コラム 2017年7月24日

ツール・ド・フランス2017 第21ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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写真:左から総合2位のウラン、1位のフルーム、3位のバルデ

小雨に濡れたシャンゼリゼの石畳を、24歳のディラン・フルーネウェーヘンが最速で駆け抜けた。新城幸也は自身7度目のパリ帰還を成し遂げ、38歳トマ・ヴォクレールは人生最後のツール・ド・フランスを走り終えた。緑、赤玉、白の3色ジャージにはフレッシュな顔ぶれが並び、クリス・フルームが自身4度目のマイヨ・ジョーヌで、高らかに凱旋を果たした。

大きな輪が、静かに閉じられた。北に500kmほどのデュッセルドルフから、3週間前に走り出した2017年ツール・ド・フランスが、ようやく長い旅の終わりを迎えた。当初は198人だった大集団も、落車や失格劇が有力選手を次々と奪い、167人にまで小さくなっていた。史上まれに見る僅差の総合争いは、はるか750km以上も南のマルセイユで、前夜、すでに決着がついた。

だから大会最後の日曜日、ツール誕生の地モンジュロンから走り出したプロトンは、しばらくは恒例の記念撮影や乾杯タイムを穏やかに楽しんだ。ヨアン・オフレドの「故郷アタック」や、シリル・ゴティエのプロポーズで、誰もが笑顔になった。フランスの首都パリが誇る歴史的建築群の間を駆け抜け、なにより史上初めてグラン・パレのガラス屋根の下をくぐり、おなじみのシャンゼリゼ周回コースへスカイ隊列が先頭で滑り込むと……いよいよ最後の戦いの始まりだ!

9人がはじかれたように飛び出した。空軍飛行隊が描き出した青白赤のフレンチトリコロール雲の下で、スプリンターチームは集団制御に着手した。特に今大会いまだに1勝目を追い求めるロット・ソウダルやコフィディス、ソリュシオンクレディ、チーム カチューシャ・アルペシンが精力的に牽引作業に取り組み、熾烈な追っかけっこを繰り広げた。

写真:最終ステージを勝ち取ったフルーネウェーヘン

おかげで最終周回に突入する前に、大会最後のエスケープは封じ込まれた。ラスト1周を告げる鐘がパリの空に鳴り響き、最後の凱旋門一周では、新城幸也が最前列でバーレーン・メリダ列車を猛然と引っ張った。

すべては大集団スプリントへと導かれた。パリまで生き残った数少ない有名スプリンターたち、つまりアンドレ・グライペルやアレクサンドル・クリストフ、エドヴァルド・ボアッソンハーゲンが、それぞれの発射台に導かれて位置取り争いを繰り広げた。フルーネウェーヘンもやはり、アシストの渾身の働きのおかげで、前方好位置につけていた。そしてコンコルド広場を抜け出し、最終コーナーを上手くこなすと――第1ステージの個人タイムトライアルでは、濡れたコーナーで路面で地面に滑り落ちたのだが――、この若きオランダ人が先頭へと躍り出た。

約300mの長い長いスプリントだった。微妙に上り気味の道を、力いっぱい踏み抜き、もはや誰1人として自分の前を走らせることはなかった。ツール挑戦2度目のフルーネウェーヘンが、世界で一番華やかな大通りで、生まれて初めてのグランツールステージ優勝を手に入れた。

ちなみに初めての区間勝利がシャンゼリゼ、というとてつもないジャックポットを引き当てたのは、2003年のジャンパトリック・ナゾン以来となる。ただしナゾンは同大会でマイヨ・ジョーヌを1日着用しており、表彰台は経験済みだった。2000年大会最終日を制したステファノ・ザニーニも、ツールでは初優勝だったが、ジロではすでに大会最終日スプリント勝利を手にしている。すると、なにもかもが初めてなのは、1999年のロビー・マキュウェンまでさかのぼらねばならないだろうか。ご存知の通り、オージーはその後のキャリアでツール11勝(計12勝)とジロ12勝、さらには3度のマイヨ・ヴェールを持ち帰っている。

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