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サイクル ロードレース コラム 2017年8月22日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第3ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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アンドラの山からのダウンヒルは、スリルとサスペンスでいっぱいだった。プロトン屈指の名ダウンヒラー、ヴィンチェンツォ・ニーバリが区間勝利をさらい取り、開幕わずか3日目でクリス・フルームがマイヨ・ロホを身にまとった。スペイン一周に大量に押し掛けた総合上位候補の中から、あっというまに、今大会のメインキャストの姿が浮かび上がってきた。

「今大会の優勝候補が、先頭集団に残った9人に絞り込まれたと決めつけてしまうには、まだ早すぎる。この先は長いし、難しいステージはたくさん残っている。とにかく、間違いなく、面白いブエルタになるだろうね!」(ニーバリ、フィニッシュ後インタビューより)

頭上には焼け付くような太陽、足元には険しいピレネーの道。出走直後から1級ペルシュ峠目掛けて上り始めると、すかさず8選手が逃げ出した。中でも7月のツールで通算1000kmを超える逃げを打ちながらも、山岳賞もスーパー敢闘賞も貰えず手ぶらでベルギーに帰ったデヘントが、大急ぎで2017年ブエルタの記念すべき最初のエスケープ集団を作り上げた。ちなみに今大会の目標は「3大ツールの全てで区間勝利を取った史上100人目の選手になること」らしいが、残念ながらこの日の目標達成はお預けとなる。

なにしろマイヨ・ロホ擁するクイックステップフロアーズが、集団をきっちり制御し、5分以上のタイム差を許そうとはしなかった。さらに長い谷間に入ると、スカイが主導権をむしり取り、いつものように厳しく正確なテンポを刻み始めた。アンドラ公国への訪問を控えて、8人を容赦なく追い詰めていった。ピレネーの小国にいよいよ足を踏み入れ、1級ラバッサ峠の終盤で、UAEチームエミレーツが突如として攻撃に転じたのが決定打となった。逃げの中で最後まで抵抗を続けたアレクサンドル・ジェニエとダヴィデ・ヴィッレッラも、残り27km地点で、後方へと引きずりおろされた。

ラバッサ峠の上りでは、メイン集団の大清掃も行われた。赤いジャージ姿のイヴ・ランパルトが後退していっただけでなく、チーム内で総合首位の座を引き継ぐ位置につけていたはずのジュリアン・アラフィリップも、力なく脱落していった。プロトンは50人ほどにまで小さくなり、下りに入ってもなお、UAEが高速ダウンヒルを敢行し続けた。

下り切った直後、つまり最終2級コメリャ峠の直前には、中間ポイントが設定されていた。当然ながら先頭集団にスプリンターなど残っているはずもなく、緑ジャージ用のポイント収集に興味を持つ選手もいなかった。ただし、ライン通過直前に、突如としてスプリントを切った選手がいた。……フルームだ!

「僕はすでに13秒差でブエルタを失った経験がある。だから、うん、ほんの数秒でも奪いに行くつもりで走っているんだ」(フルーム、公式記者会見より)

あれはフルームが初めて総合強者として頭角を現した、2011年大会のことだった。その13秒を詰めるために、中間ポイントでボーナスタイムを収集しようと画策した。ただし意気込みすぎて、全然関係のない横断幕の下でスプリントを切ったのは……今では笑い話である。あれから4度のツール総合優勝を手にした大チャンピオンは、この日はスプリント箇所を間違えることなく、きっちり3秒のボーナスタイムを懐に入れた。2番手にアシストのワウテル・ポエルスがつけ、ライバルが2秒を稼ぐ機会を潰すのも忘れなかった。

さらには、スプリントの勢いのまま、スカイが最終コメリャ峠の山道へ突っ込んだ。特に生まれて初めてのグランツールを戦うジャンニ・モズコンが、先頭に立つと、文字通りの全力疾走を披露した。あまりの急激な加速に、集団は軽いパニック状態に陥った。一気にばらばらに砕け散った。

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