人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2017年8月24日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第5ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
  • Line


「キャリアで最も素晴らしい勝利が手に入った。すごく嬉しい。ブエルタはファンタスティックな大会だし、今日のコースも美しかった。ツールでひどい落車を経験したけれど、ブエルタに向けてしっかり準備を積めた。おかげで最高の調子で、大会に乗り込むことが出来たんだ」(ルツェンコ、公式記者会見より)

逃げの吸収を諦めて、……すなわちラスト15.7km地点の中間ポイントでのボーナスタイム収集が不可能になると、スカイはしばらく静かにペダルを回すことにした。タイム差は7分半ほどまであっさり広がり、おかげで前区間終了時点で総合4分56秒遅れのイェツ・ボルが、暫定マリア・ロホに浮上したことさえあった。さらに最終峠の接近と共に、あらゆる総合チームが前線を侵略し、こぞって隊列を走らせた。スカイを乱暴に押しのけ、登坂口へと詰めかけた。

しかしスカイはスカイだった。ラスト2kmに差し掛かるころには、前方を4人でしっかり固め直した。さらに第3ステージでも驚異的な仕事をやってのけたグランツール新人ジャンニ・モスコンが、この日も恐るべきポテンシャルを披露した。爆発的な速度で激坂を駆け上がり、集団をずたずたに切り裂いた。フィニッシュ手前600mまで文字通り全力を尽くし、赤いジャージ姿のエースを前方へと解き放った。

恐るべき若者の無茶引き、さらに続いて襲い掛かったフルームの高速回転にしがみついて行けたのは、コンタドール、エステバン・チャベス、ティージェイ・ヴァンガーデレン、そしてマイケル・ウッズの4人しか存在しなかった。


ただコンタドールに関しては、ついていくだけでは満足しなかった。人生最後のグランツールかどうかなんて関係ない。そもそもコンタドールの辞書に、「諦める」とか、「守りに入る」なんていう文字なんて書かれていないに違いない。第3ステージに軽い胃腸炎を患い、大きくタイムを落とした。総合ではすでに3分10秒もの遅れを喫していた。ライバルたちから1秒でも多くタイム差をむしり取り、総合争いに返り咲くためには、あらゆる機会で動くしかない。山頂間際で、コンタドールは、おなじみのダンシングスタイルで加速に転じた!

「今日の走りには満足してる。おかげで今の自分の調子が把握できたし、この先どんな作戦で、どんな目標に向かって走るべきなのかを判断することもできる。ただ……総合優勝を狙うのは難しいだろう。たった1日、短い登りで、好パフォーマンスができたくらいで、気持ちだけ先走ってしまってはならない」(コンタドール、フィニッシュ後インタビューより)

ルツェンコの区間勝利から4分31秒後。コンタドールに連なるようにして、フルーム、ウッズ、チャベスが同タイムでフィニッシュラインを越えた。ヴァンガーデレンは最後に力尽き8秒を失った。ファビオ・アルを含む小集団は11秒後に滑り込んだ。2日前には巧妙に区間勝利をさらったヴィンチェンツォ・ニーバリは、この日はフルーム集団から26秒も遅れて山頂にたどり着いた。生まれて初めての「ツール以外」のグランツールに挑むロメン・バルデは、ついに完全なる国外に飛び出したこの日――というのはアンドラ公国の共同君主はフランス大統領なのだ――、なんと一気に49秒も落としてしまった。

「たった3kmの上りで、総合争いがはっきりと形を帯びてきた。ライバルたちの調子についても、僕はしっかり確認することが出来たよ。チャベスはどうやら今大会ベストクライマーのひとりだ。コンタドールも素晴らしい区間を実現させた。ヴァンガーデレンはいまだに上位に踏みとどまっているし、しかもニコラス・ロッシュも残っているから、ビーエムシー レーシングチームはつまり2つのオプションを有していることになる。ニーバリとアルがタイムを落としたのはびっくりしたし、バルデについても同じ。でもまだ大会は長い。本格的な山に入ったら、状況はまた違ってくるだろう」(フルーム、公式記者会見より)

つまりマイヨ・ロホのフルームが名前を上げた中では、ヴァンガーデレンが10秒遅れで総合2位につける。3位・11秒差でチャベスが、4位・13秒差でロッシュが追い、ニーバリは36秒差の6位、アルは49秒差の7位。バルデは1分37秒差の14位に大きく後退し、コンタドールは総合首位からの遅れこそ3分10秒と変わらないものの、総合トップ10との差は2分22秒→1分57秒と縮めた。

ちなみに名前は上げてもらえなかったけれど、総合5位には23秒差でダヴィド・デラクルスが、8位と9位にはイェーツ兄弟がつけている。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ