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サイクル ロードレース コラム 2017年8月27日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第8ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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2010年にダヴィド・モンクティエが制してから7年。同じフランス人のジュリアン・アラフィリップが、ショレト・デ・カティの激坂で勝ち鬨を上げた。背後では現役のグランツール2大チャンピオンが見事な競演を披露した。アルベルト・コンタドールは総合争いへの希望をつなぎ、マイヨ・ロホ姿のクリス・フルームは、コンタドール以外の全てのライバルから、わずかながらも貴重なタイムを奪い取った。

暴力的な勾配が、1日の終わりに待ち構えていた。全長わずか5kmながら、総合リーダーのフルームが「レースが粉々に砕け散ってしまうだろう」と予言した激坂へ向けて、恐れを知らぬ者たちが飛び出して行った。どうしても逃げに乗りたかったアラフィリップは、チームメートのマッテオ・トレンティンに耳打ちをした。「前に連れて行って欲しい」と。

約40kmも続いた飛び出し合戦には、あえて加わらなかった。大きな集団が遠ざかっていくのをひたすら待った。それからトレンティンが、前方へ向けて猛スプリントを切った。第2ステージにはイヴ・ランパルトの区間勝利をお膳立てし、第4ステージは自らが勝利を仕留めた男が、発射台役を喜んで務めてくれた。おかげでアラフィリップは、楽々と逃げに滑り込むことができた。

ちなみに第5ステージでも、アラフィリップは前方に飛び出している。しかしあの日は、ほぼ全員から執拗なマークを受けて、最後には疲れ果ててしまった。だから今回は「警戒を逃れるため先頭交代に加わりながらも、体力を使いすぎてしまわぬよう注意した」(byアラフィリップ、フィニッシュ後インタビューより)。

21人のエスケープ集団内では、他にも素晴らしいチームワークが見られた。ステージ途中に2つ待ち構えていた3級峠では、ダヴィデ・ヴィッレッラの青玉ジャージを守るために、チームメイトのブレンダン・キャンティがせっせとライバルをけん制する姿が目撃された。なにより前方に3人を送り込んだボーラ・ハングスローエは、ラファル・マイカに区間勝利をもたらそうと、2人のアシストが模範的な献身を尽くした。

最終峠が近づき、小さなアタックが生まれると、エマヌエル・ブッフマンがすぐさま潰しに走った。登坂口に向けてはクリストフ・プフィングステンが最後の牽引を行った。さらに山道に入ると同時に、ブックマンがとてつもない加速を強行。あっという間に集団を切り裂いた。いよいよ激坂ゾーンに突入するという地点まで、リーダーを背負って、全力でペダルを踏み続けた。

ラスト5.8km地点で、ついにマイカ自らが先頭に立つ時が来た。かつてツールで山岳賞を2度持ち帰ったヒルクライマーは、今ツールは序盤の落車でリタイアを余儀なくされた。今ブエルタでは胃腸の不良に苦しみ、総合争いからあっさり弾かれた。狙いを区間狙いに切り替えるしか、もはや選択肢はなかった。そんな中でも、変わらず自分を支え続けててくれたアシストに報いるべく、力強く山道へ飛び立った。

..ただ、ひどく厄介なことに、アラフィリップがピタリ張り付いてきた。どんなに加速を切っても、どれほど執拗にダンシングを繰り返しても、プロトン屈指の激坂巧者を背中から引きはがすことはできなかった。かといってほんの少しでも駆け引きに興じると、途端に後方からセルジュ・パウエルスやヤン・ポランツェが追いついてくる。最大20%にも達するクレイジーな勾配の上で、マイカとアラフィリップは、時には肩と肩とをぶつけ合うような一騎打ちを繰り広げた。

「マイカは勾配のきついゾーンで、僕を突き放そうと何度も加速してきた。だから僕も歯を食いしばってこらえたんだ。それに監督から、残り3kmで、軽い下りに入ることを聞かされていた。そこでは体力を最大限に回復するよう努力した」(アラフィリップ、フィニッシュ後インタビューより)

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