人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2017年8月30日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第10ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
  • Line

「彼が下りをよく知り尽くしていて、下りで集団をぶち壊しにかかるだろうことは分かっていた。でも僕も下りが大得意だから、ロハスに仕事をやらせておいたのさ」(トレンティン、フィニッシュ後インタビューより)

でもあまりに速くて滑らかに下るものだから、時には後輪に張り付くのが難しかったくらいだよ……とライバルの健闘を讃えつつ、しかしトレンティンはきっちり勝利を仕留めた。ロハスだって十分にスプリント巧者のはずなのだが、絶好調のイタリア人にはまるで歯が立たなかった。

2日目にイヴ・ランパルトの区間勝利を巧みにお膳立てし、8日目にはジュリアン・アラフィリップのために賢く力を使ったトレンティンが、自らにとっては今大会2つ目の勝利を手に入れた。所属チームのクイックステップフロアーズにとってはジロ5勝、ツール5勝、そしてブエルタでは4勝目!

「つまりこのブエルタで、僕らあと1勝しなきゃね!」(トレンティン、フィニッシュ後インタビューより)

後方でダウンヒル攻撃に転じたのは、予想通り、ニーバリだった。山頂間際で上りスピードを一気に上げると、追いすがるフルームやエステバン・チャベス、アルベルト・コンタドールを振り払い、全速力で下りへと滑り出していった。ヘアピンカーブを恐れもせずに突進を続け、ライバルたちとの距離を、ほんの僅かながら開くことにも成功した。

「危険な下りだからこそ、トライしてみようと思ったんだ。でも、思ったほどスピードの出る坂道じゃなかったし、下った先にも数キロの平地が続くことは分かっていた」(ニーバリ、フィニッシュ後インタビューより)

逃げに送り込んでいた2人と、タイミングよく合流できなかったのも理由だった。これ以上危険を冒すのは無駄だと判断し、1分17秒差で総合4位につけるニーバリはあっさり加速を止めた。おかげでメイン集団は静けさを取り戻した。フルームは3人のチームメートに護衛されながら、総合ライバルの「ほぼ」全員と一緒に1日を終えた。

ほぼ……というのは、1分05秒差で総合3位のニコラス・ロッシュだけが下り最終盤で抜け出すと、フルーム集団より29秒先にフィニッシュラインを越えてしまったから。

「飛び出すつもりはなかった。とにかくニーバリとの穴を埋めるのに必死だった。ようやく追いついた時に、後ろを振り返ってみたら、少し距離が空いていた。その時思ったんだ。『よし、行ってみようじゃないか』って。そこからはフィニッシュまで全力を尽くした」(ロッシュ、フィニッシュ後インタビューより)

第1ステージのチームタイムトライアルと、風分断でニーバリとチャベスにそれぞれ8秒と3秒ずつ献上した翌第2ステージ、それからボーナスタイム以外では、今大会のフルームが総合の直接的ライバルからタイムを失ったのは初めて。あれほどまでにボーナスタイム収集に熱心になり、1秒の大切さを説いてきたというのに、この日は意外なことに元チームメートの飛び出しを見送った。自分はロッシュのことなど大して恐れていないから……という理由で。

たしかにロッシュを恐れるべきは、総合首位から36秒差の同タイムに並ばれてしまった総合2位チャベスであり、総合4位のニーバリかもしれない。総合5位・1分27秒差にはロッシュのチームメート、ティージェイ・ヴァンガーデレンも控えている。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ