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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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長い山道と、標高の高さと、降り続いた冷たい雨が、総合争いの顔ぶれを大きく入れ替えた。現役でただ2人の全3大ツール覇者、ヴィンチェンツォ・ニーバリとアルベルト・コンタドールが存在感をいよいよ増し、ツール総合4勝のクリス・フルームはマイヨ・ロホを堅守した。ミゲル・アンヘル・ロペスモレーノが誰よりも速く、強風よりも強く、高い山をひとっ飛びで、初めてのグランツール区間勝利を手に入れた。
ひどい雨を構わずに、大量の選手が熾烈なアタック合戦を開始した。特に前日15分近く(あえて)落とし、総合でもたっぷり21分以上の遅れを喫したロメン・バルデが、積極的に前方への飛び出しを繰り返した。生まれて初めてフランス国外のグランツールを走り、「発見と自己発見」を楽しんでいるツール総合3位は、50kmにも渡る駆け引きを制してまんまと逃げに滑り込んだ。
出来上がった強豪揃いの14人の逃げ集団の中で、フルームとスカイボーイズたちを悩ませたのは、むしろイゴール・アントンの存在だったはずだ。バスク人ヒルクライマーは今から11年前に、まさに同じフィニッシュ地を、やはり雨の中で勝ち取っている。なにより総合では5分54秒遅れでしかない。ただでさえ濡れた路面で、先頭集団に大量のリードを許すのは危険だった。だから、この日もまた、せっせとスカイは制御列車を走らせた。タイム差は5分程度に抑えた。
フィニッシュまで57km、突如としてコントロール権をオリカ・スコットがむしり取った。朝の時点で総合2位につけていたエステバン・チャベスによると、これぞ「作戦」だったという。2選手が先頭に駆け上がると、猛烈な牽引を開始した。その時点で4分20秒ほどあった両集団の差は、みるみるうちに縮まっていく。わずか10kmほど走っただけで、タイム差は2分を切った。
最初の1級ベレフィケ峠の山道に入ると、オリカの勢いはさらに増した。そして逃げとのタイム差が40秒に縮まったところで、作戦の第2段階へと着手した。チャベス曰く「昨ブエルタの第20ステージのような作戦」だ。すなわちコンタドールを表彰台から弾き飛ばし、自らが総合3位に浮上した時のように、チーム内の選手を前方待機させるのが狙いだった。2016年ツール新人賞アダム・イェーツが総合ではわずか1分55秒遅れに留まっていたのに対して、2017年ツール新人賞サイモン・イェーツは、休息日前日にすでにタイムを大きく失っていた。だからチームリーダーとアダムために、サイモンが単独でブリッジを仕掛けた。
バルデの強行で、逃げ集団はすでにばらばらになっていた。サイモンはすぐに追いついた。邪魔なアントンは振り払われ、その代わり同じく後方から抜け出してきたダルウィン・アタプマが合流した。ベレフィケ山頂ではバルデがもしもの場合に備えて先頭通過を果たし、サンデル・アルメ、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ、サイモン、そしてアタプマと揃って下りへ飛び込んだ。
路面は幸いにも乾き始めていたし、道幅は広かった。それでも慎重派が多かった。ダウンヒル巧者で知られるバルデも、この日はおとなしかった。アルメは「バカなことにダウンヒル序盤のコーナリングミスで自信を失ってしまい」(本人ツイッターより)、慎重になりすぎて、先頭集団から脱落していった。サイモンを見送った直後に主導権を取り戻したスカイは、とにかく安全に、ゆっくりと下る方を選んだ。
最終峠の、全長15.5kmの山道に一歩踏み込んだ途端に、再び戦いに火がついた。バルデとサイモンが突如としてスピードを上げ、慌ててアタプマも追いついた。ヴィスコンティにとっては……どうやら作戦に取り掛かる時間だった。
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