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サイクル ロードレース コラム 2017年9月3日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第14ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ツールの悔しさも、ブエルタ序盤の鬱憤も、パンデラの山頂で綺麗さっぱり吹き飛ばっした。ラスト10kmの果敢なる独走の果てに、ラファル・マイカが自らにふさわしい山の勝利をつかみとった。ほんのすぐ背後では、総合争いの強豪たちが、ありとあらゆる攻撃を試みた。しかし劇的な変化は起こせなかった。むしろマイヨ・ロホが、個人としてもチームとしても優位にあることを、改めて印象づけただけだった。

道の果てにそびえ立つ難峠へと向かって、20km地点でひとつの塊が飛び出した。メイン集団ではいつも通りにチームスカイが制御権を握った。極めて節度あるリズムを保ち続け、逃げの10人には8分近いリードを許した。

まずは青玉ジャージのダヴィデ・ヴィッレッラ&2012年ブエルタ山岳賞サイモン・クラークというキャノンデール・ドラパック組が、積極的に動いた。ステージ中盤の3級峠(3pt)、さらには終盤の2級峠(5pt)で、ヴィッレッラが先頭通過を成功させる。ただし2級峠の麓で、先頭集団の主導権を握ったのは、やはり2人で滑り込んでいたボーラ・ハンスグローエだ。ツール・ド・フランスで2度の山岳賞に輝いているマイカのために、パトリック・コンラートが大いなる牽引を引き受けた。

理由は単に、集団を絞り込むためだけではなかった。もっと深刻な理由があった。というのもステージの折り返し地点を過ぎた直後から、後方が騒がしくなってきたのだ。バーレン・メリダ、トレック・セガフレード、アスタナプロチームの3チームがアシストを集団前方へ配置すると、猛烈なる加速を始めた。

そのうちチームカチューシャもスピードアップに加わり、クイックステップフロアーズも前方に競り上がった。総合上位チームほぼ総出の働きで、確実にタイム差は縮まっていった。フィニッシュまで30km、いまだ2つの峠を残しているというのに、逃げ集団にはもはや3分の余裕しか残されていなかった。

コンラートの加速で、2級峠の山頂にたどり着く頃には、10人の集団は一気に半減していた。最終超級峠の全長12kmの山道に差し掛かると、オーストリア産ヒルクライマーはスピードをさらに上げた。導入部の激坂で、一気にヴィレッラも弾き飛ばされた。

「2つの上りで先頭通過できたから、この状況に満足しているよ。すでにこのジャージを勝ち取ったことのあるクラークが、助けてくれた。最後の上りは、静かにマイペースで上りながら、どうやって山岳賞を勝ち取るか2人で話しあった」(ヴィレッラ、大会公式リリースより)

背後のプロトンでは、アスタナがさらにリズムを上げていた。コンラートも負けじと努力を続け、残り10.5kmまで死力を尽くした。マイカ、ルイ・コスタ、バルト・デクレルクの3選手が先頭に残された。メイン集団は1分半にまで近づいていた。

「ここで理解したんだ。自らアタックしなければならない、と。これ以上待っていたら、そのうち吸収されることは明らかだった。ひとりで走るのはすごく辛いことだけれど、他の2人が苦しんでいるのを見て、自分のリズムで行くべきだと考えた。ラスト10kmはまさにタイムトライアルだった」(マイカ、フィニッシュ後インタビューより)

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