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サイクル ロードレース コラム 2017年9月4日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第15ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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しかし、プロトン屈指の強豪3人も、バルデ曰く「最強の男に窒息させられる」(フィニッシュ後TVインタビューより)ことになる。フィニッシュまで26.5km。前方3人との差は50秒。1級の上りで、メイン集団から、3つ目の逃げが誕生した。コンタドールが飛び出した。背中にはぴたりと、ロペスモレーノが張り付いていた。

「コンタドールと僕は、一緒に飛び出すことに決めた。でも不安もあった。長い上りだったから」(ロペスモレーノ、フィニッシュ後インタビューより)

後方の動きを察知してか、残り25kmで、アダム・イエーツは孤独な奮闘へと漕ぎ出した。クライスヴァイクとバルデは先頭からは脱落しつつ、それぞれにコンタドールとロペスと合流した。もしも、に備えてバルデは山岳ポイントを積極的に取りに行くことも忘れなかった。

コンタドールとロペスの飛び出しを、総合首位フルームはあっさり見送った。本人によれば「あれは本当に危険な瞬間だった」(フィニッシュ後インタビューより)そうだが、急いで潰すよりも、アシスト4人を使って絶妙なタイム差制御を続けるほうを選んだ。1級から続く最終超級峠に突入すると、メイン集団とアダム・イェーツとの差は2分半以上、コンタドール集団との差は1分半近くにまで広がった。……つまりコンタドールは、暫定総合3位へ浮上したことになる。それでもスカイ隊列は慌てず急がず、一定テンポを乱すことなく、先を続けた。

むしろ総合2位の座が危うくなってきたニーバリが、残り13kmで単独アタックを企てた。ここでもスカイは一切乱れなかった。ライバルのほんのすぐ後方で、淡々と集団を牽引した。3kmほど先であっさりニーバリをを回収した。

「本当にチームメートたちには感謝の言葉しかない。彼らの仕事はファンタスティックだった。決してパニックに陷ることなく、常にレースをコントロールし続けた。とてつもないプレッシャーの中で、全力を尽くしてくれた」(フルーム、フィニッシュ後インタビューより)

フルーム自らの加速で、大急ぎでライバルを潰しに走らなかったのには、理由があった。上りが極めて長く、フィニッシュまでいまだ先が長いこと。なによりラスト9kmから、2000mを超える標高との戦いが待っていたこと。

「こういった条件下では、チームメートの存在こそが、生死を分ける。今日、チームメートが最後まで僕の側にいてくれたことが、僕の成功の鍵となった」(フルーム、フィニッシュ後インタビューより)

まさしく標高が2000mを超えた頃から、タイム差は目に見えて縮まっていった。先頭で孤軍奮闘を続けるアダム・イェーツと、背後から追い上げるコンタドール、ロペス、バルデ、クライスヴァイクの差も。豪華4人組と、ミケル・ニエベが牽引するマイヨ・ロホ集団の差も。

アンデス山脈の高地で生まれ育ったヒルクライマーにとっては、標高2000m以上こそが狩場だった。フィニッシュまで6km。アダムを46秒差にまで追い詰めたところで、ロペスが加速を切った。コンタドール等々はまとめて一気に置き去りにした。2kmほど先でアダム・イエーツを楽々捕らえ、すぐに振り払った。自身2つ目の勝利に向かって、スーパーマンは飛び立った!

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