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しかも残り28km地点から上り始めた1級峠で、牽引を担当していたチームが、次々と人員を前方に送り出そうとしたものだから……いつしか主導権はスカイの手元へと舞い戻った。マイヨ・ロホ護衛隊はまたしても淡々とテンポを刻んだ。小さな動きは見逃しつつ、前方待機に向かうアシストたちを、ただ冷静に回収していった。
おかげで全長7.2kmの最終峠を上り始めた時点で、逃げの5人は、メイン集団とのリードをかろうじて1分半保っていた。さすがに序盤に2つ待ち受ける激勾配ゾーンを、元気よく抜け出せたのは、デニフルひとりしかいなかった。オーストリアの、正確にはチロル地方で生まれ育った……つまり「ドロミテの激坂なんてこの勾配の上にもっと距離が長いからね」とあっさり言ってのけるほどの生粋のヒルクライマーは、そのままぐんぐんと激坂を突っ走り始めた!
「今日は、脚が絶好調だった。だってこのステージのために、ブエルタが開幕して以来、ずっと力を温存してきたんだからね。それにこの上りは、僕にとって、パーフェクトなんだ」(デニフル、フィニッシュ後TVインタビューより)
デニフルが先頭に立つほんの少し前、メイン集団では、ロペスモレーノがついにアタックを仕掛けた。すかさずコンタドールが後輪に飛び乗った。しかし7月のオーストリア一周で、そのデニフルを退けて山頂フィニッシュを勝ち取ったコロンビア人はーー総合優勝はデニフルに取られてしまうのだがーー、2つ目の25%ゾーンで自ら加速を止めた。しかも「ここで燃え尽きてしまってはならない」(フィニッシュ後インタビューより)と23歳が自重したことで、34歳の攻撃魂に一気に火がついた。
「今日は足がしっかり応えてくれた。ロペスモレーノが激勾配で少し速度を失いつつあるのを察知して、ためらわず飛び出した。体力が十分に残っている感覚もあったから、最後まで行けると確信したんだ」(コンタドール、フィニッシュ後インタビューより)
若造を置き去りにしたベテランは、区間勝利を目指して、畳み掛けるようなダンシングで加速を続けた。しかし人生初めてのグランツール勝利に向かって、前方のデニフルもまた、一心不乱に努力を続けていた。
「コンタドールにとって人生最後のレースだから、もしかしたら勝たせるべきだろうか……?なんて一瞬思ったけれど、僕にだって、今日しかチャンスはなかった。だから全力を尽くす以外に選択肢はなかった」(フィニッシュ後TVインタビューより)
29歳の激坂巧者は、28秒差でコンタドールから逃げ切った。7月に祖国の一周レースを制し、「キャリアで最も誇らしい勝利」を手に入れたデニフルは、寒い9月のスペインで、「キャリアで最も素敵な1日」を味わった。実は総合優勝の経験はあるけれど……ラインレースのフィニッシュで両手を上げたのは、プロ生活で初めて。もちろん所属チームのアクアブルースポートにとっては、創設シーズンの、初めてのグランツールで、初めての素晴らしい勝利となった。
最後のグランツールを戦うコンタドールにとっては、あと300mが足りなかった。4日後に自転車を下りる世紀のチャンピオンに、勝利の女神は、またしても微笑まなかった。ただ最後まで全力でフィニッシュラインを駆け抜け、後方のライバルたちから軒並み36秒以上をさらい取った。2位のボーナスタイム6秒も手に入れ、コンタドールは、総合表彰台にほんの少し近づいた。
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