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サイクル ロードレース コラム 2017年9月8日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第18ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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3度目の正直で、サンダー・アルメが逃げ切り勝利を手に入れた。プロ入り8年目にしてつかみとった初めての勝利だった。前日は不調でタイムを失ったマイヨ・ロホのクリス・フルームは、この日はライバルたちの無数の攻撃を巧みに捌いた。総合2位以下とのリードを開くことさえ成功した。

伝説の大逃げの地が、舞台だった。2012年ブエルタ第17ステージ、前日まで28秒差の総合2位につけていたアルベルト・コンタドールが、50kmものロングアタックを企て、そして逆転総合首位に立った。2017年第18ステージの、ラスト50kmは、まさにあの日の道を走った。ただし大きく違ったのは、5年前は、この日よりもさらに20km上った先の「フエンテ・デ」にフィニッシュラインが引かれていたこと。

それでも、多くの選手たちが、インスピレーションを得た。猛スピードでアタック合戦に挑みかかった。激しいバトルは約60kmも続き、選ばれし20人が前方へと遠ざかっていった。

途端にメイン集団は大きく減速した。なにしろフエンテ・デを教訓とするならば、まずは逃げ集団にブリッジをかけられぬよう、手筈を整えるべきだったから。こうしてスカイ隊列が緩やかにリズムを刻み、前方に最大13分半ものリードを許した。

おかげで、のこぎりの歯のように並ぶ最終盤の4峠で、逃げ集団は思いっきり攻撃合戦を繰り広げることが出来た。上りでは山岳巧者が加速し、下りでは「非」山岳巧者がスピードを上げた。たとえば序盤2つの上りでは、アルメが猛烈なテンポを刻み、ライバルたちの体力を奪いにかかった。一方でマッテオ・トレンティンは、しっかり前線に食らいつくと、2つ目の山頂から猛ダッシュで下りへと突っ込んだ。

ちなみにトレンティンが急いだのは、下った先で、中間ポイントをさらいとるため。満点4ptを手にし、後にフィニッシュでも7位9ptを積み上げた。おかげでポイント賞2位に再浮上。翌第19ステージは首位フルームの代わりに緑ジャージで走る権利を得た。しかも3ステージを残して16pt差に被害を食いとどめているから、逆転首位の望みはいまだ消えてはいない。

3つ目のオス峠に入ると、「ノルマンディーのトラクター」ことアレクシー・グジャールがとてつもない馬力で、一気に逃げ集団を蹴散らした。英語風に言えば「アーミー」というひどく勇ましい名を持つアルメは、この時はぴたりと後輪に張り付き、むしろ体力温存に努めた。

一旦2人に絞り込まれた先頭集団は、下りでまたしても8人にまで膨れ上がる。これをアルメが、またしても、2人にまで絞り込んでいく。道が緩やかに上り始めた途端に、3度続けて加速を畳み掛けた。最後まで反応できたのは、この9月7日がまさに25歳の誕生日というアレクセイ・ルツェンコだった。たしかに、ジュリアン・アラフィリップも、すぐに追いかけてはきたけれど……。

「でもアラフィリップは後輪に張り付いているだけだった。足の調子が悪い、とか言って先頭交代に加わろうとはしなかった。でも、そんなの、本当かどうか分からないし、とにかく彼はスプリントに強い。だから絶対に引き離さなきゃならないと思ったんだ」(アルメ、フィニッシュ後インタビューより)

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