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サイクル ロードレース コラム 2017年9月9日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第19ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ラスト2kmでロッシュがアタックし、やはり地元生まれのダニエル・ナバーロが追いかけた時は、ぴたりと後輪に張り付いた。2人に散々力を使わせておいて、自らは一切の先頭交代を拒否した。目論見通りに800mで集団は再びまとまった。9人が団子状態のままで、フィニッシュラインへと雪崩込んだ。ロッシュがロングスプリントに挑み、ガルシアが早めに仕掛け、そして自信通りにデヘントが見事なスプリントの脚を披露した。グッ、と小さなガッツポーズを握り、ついにジロ、ツールに続きブエルタでも待望の区間勝利を手に入れた。

「本当はブエルタでも山頂フィニッシュを勝てたら最高だったけど……明日のアングリルで勝つには、僕はちょっと太り過ぎてる(笑)。でも、今日の勝利のおかげで、僕は晴れやかな気分でキャリアを退くことができそうだよ」(デヘント、フィニッシュ後TVインタビューより)

実際に3日後にキャリアを退くコンタドールは、いまだに、さらなる高みを追い求めていた。アスタナの必死の牽引により、メイン集団の遅れがようやく14分に縮まった頃だった。静かに4つ目の上りに差し掛かったプロトンの中から、突如として、攻撃に転じた。ピーター・ステティナの猛烈な加速に導かれて、大チャンピオンは飽くなき戦いへと打って出た!

「最後まで逃げ切るのは難しいと分かっていた。でもチームメートが2人前にいたから、2人のうち1人は、僕に手を貸すために待ってくれているかもしれないと思った」(コンタドール、フィニッシュ後TVインタビューより)


ハリンソン・パンタノはすでに区間争いに向けて全力で奮闘していたけれど(最終的に区間2位)、エドワード・トインズはたしかに待っていた。第12ステージでも前方待機し、下りと平地で牽引を行い、チームのエースが総合首位との差を42秒縮めるのに一役買ったベルギー人が、この日も素晴らしい献身を尽くした。スカイがすぐには追走を仕掛けなかったおかげで、メイン集団には一時1分ものリードをつけた。

しかし総合で1分17秒しか離れていない3位ウィルコ・ケルデルマンが、ただ指をくわえて見ているはずもなかった。数少ないアシストを総動員して、集団のスピードを上げた。

「後ろのリアクションは予想通りだよ。風も強かったし、しかも向かい風だった。だから吸収されるのは時間の問題だって分かってた」(コンタドール、フィニッシュ後TVインタビューより)

フィニッシュ手前2.5km、コンタドールの挑戦は無情にも打ち切られた。最後はスカイのアシスト5人が手堅くコントロールする中で、総合上位勢は揃ってフィニッシュラインを越えた。

大会最後の金曜日、実に最終週に入って初めて、総合トップ10に一切の変動はなかった。つまり総合首位フルームと2位ヴィンチェンツォ・ニーバリの差は1分37秒のまま。総合3位ケルデルマンと4位イルヌール・ザカリンの差は12秒で、総合5位コンタドールの表彰台までの距離は1分17秒残っている。

「今日が無事に終わって満足しているし、おかげで明日に向けて集中することが出来る。アングリルは過酷な試練となるだろう。短く爆発的なステージだから、スタートと同時に花火が打ち上げられるはずだ」(フルーム、フィニッシュ後インタビューより)

気になる天気予報は、コンタドールの望み通り……雨。2002年のアングリルも雨だった。最大23.5%の激坂を、川のように、雨水が流れたものだ。ただでさえ厳しい魔の山で、2017年ブエルタ最後の、文字通り「死闘」が繰り広げられる。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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