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サイクル ロードレース コラム 2017年9月10日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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メイン集団からは、ハリンソン・パンタノが飛び出した。2016年ツールで驚異のダウンヒルテクニックを披露したコロンビア人は、コンタドールを背負って、危険をかえりみずスピードを上げた。メイン集団のライバルたちからあっさり30秒差を奪い、全長12.5kmの地獄へと飛び込んだ。

「チームメートたちのおかげで、ライバルに先んじてアングリルに取り掛かることが出来た。だから自分にこう言い聞かせた。『よし、この先は、自分で動く番だ。山頂まで全力を尽くさなきゃならない。勝利を奪い取らなきゃならない』って」(コンタドール、フィニッシュ後TVインタビューより)

総合5位コンタドールが飛び出したと知るや、チームサンウェブが慌てて追走に取り掛かった。メイン集団に残るアシスト2人だけでは足りぬとばかりに、逃げ中のクラーウ・アナスンも呼び戻された。あまりに必死に牽引したものだから、山頂まで8kmを残して、総合3位ウィルコ・ケルデルマンの護衛は全員燃え尽きてしまう……。

一方のコンタドールには、力強い味方がついていた。上りに入ってもパンタノが全力を尽くしただけでなく、チームの枠を越えて、同じスペイン人のマスも一緒に先を急いだのだ!

「最後までずっと付いていけたら、と願ったんだけどね。残念ながら僕には前線にとどまるだけの力がなかった。でも嬉しいんだ。こんな経験が出来たことが嬉しい。将来きっと僕の役に立ってくれるはずだから。なによりアルベルトが……僕を自転車競技に導いてくれた恩人の1人が舞台から去る日に、こうして立ち会えたことが本当に嬉しい」(マス、チーム公式リリースより)

プロ1年生の若者は、ジュニア時代の3年間、コンタドールが手がける育成チームで走ってきた。だからこそパンタノが全力疾走で燃え尽きた後も、祖国の大先輩のために惜しみなく加速を続けた。長らく先頭を逃げ続けていたマルチンスキーも追い越して、本当の恐怖が始まるラスト7kmまで、持てる力をすべて注いだ。残念ながらマスの冒険はここで打ち止めとなるが、山頂では嬉しい敢闘賞が待っていた。

そのマスが落ち、バルデさえ振り払った後、人生最後のグランツールを戦うコンタドールに最後まで同伴したのが、人生最初のグランツールを戦うソレルだった。2015年ツール・ド・ラヴニールの総合覇者にして、「コンタドール去りし後のスペイン自転車界の未来」を担う若者は、熱狂のるつぼと化した難勾配ゾーンを祖国の英雄と共によじ登った。

しかし、コンタドールが、ひとりで飛び立つべき時が来た。ラスト5.5km、未来のチャンピオンを置き去りにすると、ついに美しきフィナーレへ向かって独走を始めた。もちろん最大勾配23.5%の難勾配が自慢の山道は、まるで簡単ではなかった。自らが雨を強く願ったとは言え、コンタドールにとっても濡れた路面が厳しいことには変わりなかった。

「ひたすら同じリズムで上るよう集中し続けた。でも難しかった。ダンシングするたびに、雨のせいで、自転車が浮いてしまうんだ。出来る限り腰を下ろしていなきゃならなくて、つまりいつもの上りスタイルが取れなかった」(コンタドール、フィニッシュ後TVインタビューより)

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