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サイクル ロードレース コラム 2017年9月10日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「これこそが『アディオス』を告げる最高のやり方だと分かっていた」(コンタドール、フィニッシュ後TVインタビューより)

今世紀最強の自転車チャンピオンが、自らの伝説を、幸せな形で完結させた。アングリルのとてつもなく恐ろしい激坂を、美しき花道に変えて、残り1発の弾丸で、アルベルト・コンタドールは人生最後のステージ勝利を射抜いた。史上最強への道をいまだ邁進中のクリス・フルームは、ついに生まれて初めてのブエルタ総合優勝に王手をかけた。

コンタドールの最後の願いは天に届いた。望み通り、冷たい雨が、山道を濡らした。天候条件が厳しくなればなるほど、戦いは厳しさを増し、きっと自分に有利になるはずだから……。かといって天然のアタッカーが、ただじっと運を天に任せるはずもなかった。スタート直後に18人が逃げだすと、すぐさまトレック・セガフレード全員で集団制御に乗り出した。スカイの手に主導権を委ねてなんかおかなかった。

「昨日の夕食時に、食卓でみんなで確認し合ったんだ。今日が僕らにとって最後のチャンスになるだろう、って。おかげでステージ前半は、チームメートが100%の力を注いでくれた」(コンタドール、フィニッシュ後インタビューより)

大会最後にふさわしく、逃げには豪華メンバーが揃っていた。しかしツール総合3位のロメン・バルデや、双子で2年連続ツール新人賞を分け合ったアダム&サイモン・イエーツ、元世界チャンピオンのルイ・コスタ、さらにはすでに今ブエルタで区間勝利を手にしているジュリアン・アラフィリップやトマシュ・マルチンスキー、シュテファン・デ二フルが束になっても、メイン集団から、決して1分45秒以上のリードを奪えなかった。

しかもステージ半ばに差し掛かると、チーム総合首位のアスタナも牽引に協力を始めた。さらに最終40kmにぎゅっと詰め込まれた3連続峠に入る頃には、総合2位ヴィンチェンツォ・ニーバリを擁するバーレーン・メリダも、逆転優勝のわずかな可能性に賭けて前線へ競り上がった。

残念ながら、濡れた下りが、アスタナとバーレーンの攻撃続行を阻んだ。なにしろ1つ目の峠からのダウンヒルでは、ファビオ・アルが完全に脱落した。最終的に総合8位から、一気に13位まで陥落した。また上りの強さは区間2勝で証明済みのミゲル・アンヘル・ロペスモレーノも、「少し自転車のコントロールを失って、そこから急に怖くなった」(大会公式リリースより)せいで、集団につていけなくなった。総合順位は2つ下げ、総合8位で初めての3週間を終えることになる。ただ幸いにも、チーム総合首位の座だけは、最後まで守りきった。

2つ目の峠からの下りでは、プロトン屈指の下り巧者であるはずのニーバリが地面に滑り落ちた。本人のツイッターによると、肋骨を痛めたとのこと。3大ツールを全制覇した現役屈指の王者は、ギリギリまで歯を食いしばって、メイン集団にとどまり続けた。

ちなみに同じ下りで、総合11位ダヴィデ・デラクルスも落車の犠牲となった。トップ10入りを目指し、果敢に攻めている真っ最中だった。幸いにも骨折等はなかったが、マドリード到着を翌日に控えて、途中棄権に追い込まれた。

危険な下りは、攻撃のチャンスでもある。逃げ集団では、ダウンヒルを積極的にこなしたマルチンスキーが、ひとり先頭で最終峠へと突き進んでいた。セーアン・クラーウ・アナスンやバルデ、さらには母国スペインで「コンタドールの後継者」と呼ばれる23歳マルク・ソレルや22歳エンリク・マスが、必死で後を追いかけていた。


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