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サイクル ロードレース コラム 2017年9月11日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第21ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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2011年に初めてスペイン一周に挑み、初めて総合2位の表彰台に上がってから、頂点獲りには実に6年もの年月を要した。ツール・ド・フランスではすでに4度の総合優勝を飾っているフルームにとっては、フランス「以外」で手に入れれた初めてのグランツールの栄光だった。また史上3人目のツールとブエルタの同一年制覇を成し遂げた快挙を讃えられ、開催委員会の粋なはからいで、ダブルツールの盾を贈られた。

「去年ツールを勝った後に、ブエルタで総合2位に入った。これでダブルツールが可能だと悟ったし、大いにやる気を掻き立てられた。今年はいつもとは違うシーズン計画を立てた。シーズン序盤はレースをほとんど走らなかった。ツールに乗り込んだ時は肉体的には元気だったけれど、脚には十分な実践を積んでいない状態だった。でも、おかげで、ブエルタの3週間を力強く乗り切ることができたんだ。すごいことだよ。自分がこんな肩書を得る日を夢見てきた。歴史を書き換える選手、ブエルタを初めて勝ち取った英国人、史上初めてツール後にブエルタを勝ち取った選手……」(フルーム、第20ステージ後記者会見より)

フルームの両脇では、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(総合2位)とイルヌール・ザカリン(3位)が長い戦いの終わりを共に称え合った。チーム総合首位はアスタナが守り抜いた。初めて3週間を走りきったミゲル・アンヘル・ロペスモレーノが新人賞に輝き、アダム・ハンセンは19回大会連続でグランツールを走りきった。そしてコンタドールが、3週間支えてくれたチームメートと共にスーパー敢闘賞の表彰台に上がった。




「キャリアのどんな段階であれ、この賞をもらえたら純粋に嬉しいさ。でも今の僕にとって、この賞は、特別な意味を持つ。だってファンたちが僕に与えてくれた賞だ。これこそ僕がキャリアを通して行ってきた、あらゆる努力に対するご褒美だよね。素晴らしい時も、そうでない時もあった。だけど、今はただ、こう思う。自分は幸運な男だった、と」(コンタドール、第20ステージ記者会見より)

実はツール前に、すでに今季限りの引退をチーム側に告げていたという34歳に、もはや心残りはなかった。前夜に人生最後のステージ優勝を手に入れた。この日はフィニッシュ後に、最後にもう1度だけ、スペイン国旗と共にパレードランをする特権を与えられた。チームメートたちからは「あと1年~」なんて歌声も聞こえてきたけれど、グランツール7勝の偉大なるチャンピオンは、泣き笑いしながら「それは不可能だよ」と答えた。「チームが僕を心から理解し、僕を100%支援してくれる。そんな満たされた幸せな気分の今こそ、キャリアを終えるべきだと思った」と開幕前に語った決意は変わらなかった。コンタドールは「幸運な男」として、15年過ごした戦いの場からから立ち去っていく。

「僕は選手として常に全力を尽くしてきた。これからは育成チームのために、スペイン自転車界の未来のために、全力を尽くす」(コンタドール、フィニッシュ後TVインタビューより)

エル・ピストレロは拳銃を永遠にしまい込み、フルームは来夏のツール5勝倶楽部入り目指して再び走り出す(その前に、黄色いジャージの再お披露目に、さいたまクリテリウムにやってくる!)。2017年のグランツールは大団円で幕を閉じ、1月に幕を開けた自転車シーズンも、落ち葉の季節を迎える。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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