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しかもバーレーンの猛攻、正確に言うとグランツール総合4勝の大チャンピオン、ヴィンチェンツォ・ニバリのとてつもない加速のせいで、3人は急速にリードを失っていく。
残り50kmで始まった粛清は、メイン集団からも次々と邪魔者を削り取っていく。24時間前に衝撃的なプロ初勝利を飾ったオスカル・ロドリゲスも、あっという間に蹴落とされた。なによりニバリが下りで真骨頂を発揮すると、プロトン後方は粉々に砕け散り……エラダもその犠牲となった。最終的に9分以上ものタイムを失い、1日の終わりに、エラダはマイヨ・ロホに別れを告げた。
残り26km、今ステージ4つ目の上りに差し掛かる頃には、3人とメイン集団の差はすでに15秒に縮まっていた。ここでクヴィアトコウスキーは、最後の力を振り絞ると、独走に持ち込んだ。
「もしもトライしなければ、区間勝利も総合タイムの収集もありえない。だからこそ今日は、一日中前で過ごすことに決めたんだ。バーレーンの追走が始まった後は、タイムトライアルモードに切り替えた。できる限りのタイム差をつけて最終峠に突入したかったから」(クヴィアトコウスキー)
しかもこの日、チームスカイの仲間が2人、ブエルタを離れた。またチームエースのダビ・デラクルスは、バーレーンの総攻撃で後方へと吹き飛ばされていた。7月のツール・ド・フランスでゲラント・トーマスの総合優勝を支え、8月のツール・ド・ポローニュでは自らが総合を制覇したポーランドチャンピオンには奮闘する理由があった。山頂で再びタイム差を1分近くにまで押し広げた。
ただ、またしても下りで、ニバリにしてやられた。なにしろ総合争いを放棄した王者には、恐ろしい最終峠に向けて体力を温存しておく必要などなかった。ただ、ひたすら、チームメートのヨン・イザギーレのため、クレイジーなまでに自らの特技を発揮すればよかったのだ。ダウンヒルマスターであるはずのクヴィアトが、急速にリードを失っていく。残り9kmでニバリは超一流の仕事を終え、そして残り5kmで、クヴィアトコウスキーの逃げにも終止符が打たれた。
その直後、ほんの7月にアスファルト舗装が施されたばかりの、誰にとっても未知なる世界へと突入した。まさに野生の山羊にしか登れないような、平均勾配12.5%の激坂に一歩脚を踏み込んだ瞬間に、総合エースたちの戦いが勃発した。
真っ先に仕掛けたのはティボー・ピノだったが、真っ先に飛び出したのは、「アタック合戦が激化する前に先行し、その後はできる限り自分のペースで走る作戦」を遂行したステフェン・クライスヴァイクだった。残り3.6kmでスピードを上げると、勾配15%超のゾーンで、約1.3kmにも渡り先頭で粘り続けた。いまだ3人を残していたモヴィスターが、代わる代わる力を尽くし、どうにか回収を成功させる。
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