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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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キングの強気な態度は、同伴者のスタルノフに対しても変わらなかった。実はカザフ選手から、もしも区間勝利を自分に譲ってくれるなら、君の総合首位のために山道を引いてやってもいい、という提案を持ちかけられたそうだ。しかし「総合首位のことを考えたのは山の前半まで。後半はただひたすら区間勝利だけを追い求めた」というキングの答えは「ノー」。
「おまえは気でもおかしいのか!って言ってやった」(キング)
残り3.5kmで暫定マイヨ・ロホの座から陥落したキングは、ラスト1kmのアーチをくぐって以降は、冷静に、スタルノフの後輪にとどまり続けた。残り300mで、ローランがほんの数メートル後ろまで迫っても、背後ばかり気にするスタルノフに対して、キングは1度たりとも振り向かなかった。そしてフィニッシュ手前100m、毅然としてスプリントを切ると、鮮やかに山頂フィニッシュをさらい取った。
「キャリアで最も美しい勝利だ。ファンタスティックだよ。だってシーズン序盤に定めた目標を、こうして達成できたのだから。でもいまだに信じられない。もちろん、そのために練習を続けてきたし、諦めずに信じ続けてきたんだけどね。でも逃げが上手く行って、こんな状況に初めて置かれたものだから……なんだかちょっと混乱もした。それでも頭をしっかり持ち続けて、そして僕はやり遂げた」(キング)
キングが歓喜のガッツポーズを天に突き上げ、ディメンションデータに今季初めてのワールドツアー勝利をプレゼントしたのだとしたら、13秒後に区間を終えたローランは、チームEFエデュケーションファーストにやはり今季初のワールドツアー勝利をもたらせなかった。一方でへとへとながらもマテは最後まで気力を振り絞り、区間4位できっちり山岳ポイント2ptを追加。今後2日間は、たとえ逃げずとも、山岳賞首位の座を楽しむことができる。
はるか後方で静かに走り続けてきたメイン集団は、最終峠の接近と共に、突如として動き始めた。スカイから真っ先に制御権を奪い取ったのはモヴィスターだった。さらにはチーム ロットNL・ユンボが、7人で隊列を組み上げるとーーつまり逃げに乗ったラース・ボーム以外全員ーー、猛烈なスピードアップを敢行。そのボームも集団に追いつかれると、残された力を惜しみなく牽引作業に費やした。
ロットNL の刻む高速テンポに耐えきれず、集団後方から、どんどん落伍者が千切れていく。2日前の落車ですでにタイムを失っていたイルヌール・ザカリンが苦しみ、ツールの落車負傷からいまだ癒えぬヴィンチェンツォ・ニバリやリッチー・ポートがまたしても脱落し、前日まで総合35秒差につけていたバウケ・モレマも、力なく後退していった。フィニッシュまで約4km、メイン集団は15人ほどにまで小さくなった。
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