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たしかに3日連続で逃げではいたけれど、前日の第3ステージは途中で自発的に後退したおかげで、余分に体力を残していたはずのローランは、つまりマテの行動を少し誤解してしまったようだ。
「僕はあくまで区間狙いで走ってた。でも最終峠の入り口でマテの動きを警戒してしまった。だって彼は山岳ポイントだけじゃなく、全てを取ろうと欲張って、まるで前を引かなくなったからね」(ローラン)
キングに対する読みも、ローランはほんの少し読み違えてしまう。最終峠の登坂口の5.5km地点に設置された中間ポイントに向けて、キングが飛び出していった時、「あれは単なる総合首位獲りを考えての動き」と見逃してしまったのだ。たしかに「最終峠の序盤まで総合首位のことが頭の隅にあった」と本人も告白するように、キングは中間ポイントでボーナスタイム3秒を獲りに行った。しかしキングの動きに、イェーレ ・ワライスとニキータ・スタルノフが反応し、他の6人との間にちょっとした距離が開くと……3人はそのまま全力で行くことに決めてしまった!
「タイムトライアルのつもりで走った。他の選手たちと比べて、自分がどれだけ上れるのかまるで見当がつかなかったから、だったらできる限り長く先頭で走ろうと考えた」(キング)
最終峠アルファカルに先頭で挑みかかる頃には、キングを含む3選手は、ライバルたちに早くも30秒差をつけた。山道に入るとすぐにワライスは脱落した。キングとスタルノフは風の強い山頂へ向かって、黙々と一定ペースを保ち続けた。差が40秒にまで拡大したところで、残り10km、ついにローランは単独で追走に乗り出した。山頂まで4kmに迫った地点で、差は15秒にまで縮まった。
「ローランは元チームメートだし、良い友達だし、素晴らしい選手だ。でも僕らに追いつくために、彼が必死の努力をしていることも分かっていた。対する僕はきっちり体力を温存していた。だから自信があった。たとえ追いつかれても大丈夫、スプリントで倒せるはずだ、ってね」(キング)
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