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注)ブエルタ・ア・エスパーニャ2018への出場選手に関する情報は随時発表さているため、記載情報に一部遅れが生じている場合がございます。予めご了承ください。
2018年はグランツール三冠をねらってシーズンインしたイギリスチーム。その目標は想定外のことはあったが、順調に計画遂行中だ。
最初のジロ・デ・イタリアをクリス・フルームが終盤戦で奇跡の大逆転を演じて総合優勝。この時点でフルームは2017年のツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャを含めてグランツール3連覇となった。そしてツール・ド・フランスで大会最多タイの5勝目を目指して乗り込むのだが、全ステージで取りこぼしなく走ったゲラント・トーマスがまさかの初優勝。とりあえずチームとしては2012年のブラッドリー・ウィギンスの優勝を含めて6勝目を飾った。
ツール・ド・フランスでまさかのアシスト役のトーマスが総合優勝を飾ったことで、チームはシーズン当初の作戦の修正を余儀なくされた。シーズン前にフルームが掲げたのは、自転車競技界史上初の「1シーズンのグランツール完全制覇」だった。最初のジロ・デ・イタリアをなんとか優勝して、幸先のいいスタートだったのだが、チームメートをライバルのように蹴落としてツール・ド・フランス優勝に固執することは、本人にとってもチームにとっても本意ではなかったらしく、エースを交代。チームとしてはめでたしめでたしだった。
ツール・ド・フランス初制覇は2013年、そしてウィギンスのアシストをしながら区間1勝と総合2位を手に入れたのが2012年。それよりもさらに1年前の2011年、フルームはブエルタ・ア・エスパーニャで区間1勝と総合2位になっている。そして2014年はツール・ド・フランス第5ステージで2度の落車により手首を骨折してリタイアするわけだが、リベンジとして乗り込んだブエルタ・ア・エスパーニャでコンタドールと死闘を繰り広げて敗北。2016年はナイロ・キンタナに敗北。2017年にようやく初優勝するわけだが、そのときの安堵の表情といったらなかった。
もともとフルームはブエルタ・ア・エスパーニャでオールラウンダーとしての頭角を現した選手だ。フルームにとって最も思い入れがあるのは、このスペインでのレースである。ただ、残念ながらフルームに加えてゲラント・トーマスも、9月2日から9日に開催されるツアー・オブ・ブリテンに参加することを発表し、ブエルタへは出場しないことが発表されている。
スカイはツール・ド・フランスのアシスト役として大車輪の活躍を見せたエガン・ベルナル(コロンビア)をスペイン語圏の大会に起用して経験を積ませようという戦略だったが、8月4日に開催されたクラシカサンセバスティアンで落車。顔面を中心に数本の義歯に差し替えるなどの手術をする必要があるという。
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山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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