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特に精力的に作業に励んだのがグルパマ・エフデジだった。同区間スタート時に、いまだステージ勝利を手にしていないチームは全部で13。そのひとつがフレンチナンバーワンスプリンターの呼び声高いアルノー・デマール擁するエフデジで、第13ステージは本人によれば「完璧なスプリント」を切ったものの、区間3位に泣いていた。
しかもその翌日から、デマールの受難は始まった。第14ステージではマンドの激坂を最下位で上り切った。ピレネー初日の第16ステージもまた、ビリだった。しかも1つ前に走り終えた選手より、10分も遅れてフィニッシュ地にたどり着いた。第17ステージはブービー賞。65kmの戦いで、実に29分16秒もの遅れを喫した。
「僕が山を得意としていないことは、チームのみんなが理解している。去年タイムアウトで失格になった経験から、今年は山での走り方の改善に取り組んだ。おかげで今年たくさんのスプリンターが大会を去ったにも関わらず、僕は今でもここにいる。それに奇妙に思うかもしれないけど、たとえば昨日は脚が絶好調だったんだ……。もちろん山を走るのは簡単ではないけど、調子は良かったし、最後まで戦い抜くことができた」(デマール、公式記者会見より)
見返してやりたい、そんな気持ちも大きかった。第12ステージで大会を去ったアンドレ・グライペルが、第17ステージ後、「だれかグルパマとデマールに、ツールがGPSトラッキングシステムを使用していることを教えてあげた方がいいよ」なんていう皮肉めいたツイートを投稿したのだ。これにデマールは「審判団は常時僕らの周りを走っていたんだよ。君に僕のデータを送るね。君はエキスパートみたいだから、これをみてどう思うのか教えて欲しいな……」と反論。すぐにグライペルからは謝罪ツイートが投稿されたが、勝利後の記者会見でデマールは「すごく傷ついた」と告白した。
「すごく動揺もした。自分の走りに疑惑をかけられたことが残念だった。人々の口を閉じることはできない。批判や嫉妬はどこにでもある。でも僕は自分自身の脚で戦い通したし、決して諦めなかった。この山を越えれば、きっと僕にも勝利のチャンスがやってくるんだ、と信じ続けた。ただ両手を上げることだけを考えた」(デマール、公式記者会見より)
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