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三者の均衡はラスト500mで崩れた。区間2連勝時にすでに俊足っぷりを披露したマイヨ・ジョーヌが、この日も標高2215mの山頂へ向かってロングスプリントを仕掛けた。ほんの5秒ながらライバル2人を突き放し、さらには区間3位のボーナスタイム4秒をも手に入れた。
「今日はあまりリスクを冒したくなかったんだ。だから最後の加速に転じるタイミングは、出来る限り遅くした。ログリッチェとデュムランの加速にはひたすらついていくだけでよかったし、最終的には彼らから小さなタイム差を奪うことさえできた。ボーナスタイムは、まさに僕にとってのボーナスだよ」(トーマス、公式記者会見より)チームスカイ第2のエース、いや、かつては自らのアシスト役を務めてくれたトーマスが圧倒的な力を誇示した48秒後、フルームは苦しい1日を終えた。
小さな山頂のごった返したフィニッシュエリアでは、勝者たちが表彰台裏にすぐさま連行され、その場でローラー台を回すデュムランにたくさんの記者が群がる中で、ディフェンディングチャンピオンはラインを通過した直後に回れ右。防寒用の黒いウィンドブレーカーをさっと羽織ると、記者やファンが声をかける間もなく、たった今上ってきたばかりのポルテ峠を下っていった。
その下り最中には、コース警備中の警察に、一般のファンと勘違いされて地面に引きずりおろされるというハプニングも起こった。ただチームバスにたどり着いたフルームは、これ以上ないほどの笑顔で、丁寧に記者対応を行った。「とても厳しく、濃密な1日だった。でも僕に後悔はない。ゲラントは本当に素晴らしい走りをしたし、マイヨ・ジョーヌにふさわしい選手だ。彼がパリまでジャージを守り切れるよう、心から願ってる」(フルーム、TVインタビューより)
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