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「この勝利が僕らチームに再び希望と自信を与えてくれる。僕個人は平静な精神状態を取り戻すことができたし、ツールの総合争いに踏みとどまることもできた。さすがにパリで頂点に立つのは難しいと思うけど、さらなる厳しいレースをライバルたちに強いていくつもり」(キンタナ、公式記者会見より)
ステージ終了後、キンタナは3分30秒差の総合5位に浮上した。またキンタナが飛び立った後も単独で山頂を目指したマーティンは、総合タイム差を6分54秒から6分33秒と、わずかながら詰めることに成功している。
ツール史上ピレネー最高標高地点2215mの山頂を誇るポルテ峠は、マイヨ・ジョーヌと上位3つの席を巡る大激戦をも、見事に演出してみせた。全長16kmの山道をほんの2kmほど上った、勾配10%超ゾーンで、その戦いは勃発した。ログリッチェが、強烈なアタックを仕掛けたのだ!
後輪にはすかさずフルームが飛び乗った。総合4位の危険人物の加速に、総合2位に甘んじる王者はひたすら背中に張り付いた。距離を縮めに動いたのは総合3位トム・デュムランだった。マイヨ・ジョーヌ以下を背負って猛烈に前進すると、まんまと穴をふさいだ。
残り3kmのアーチの下で、ログリッチェは2度目の強烈なアタックをお見舞いする。ここで後輪に飛び乗ったのはトーマスだった。今度はデュムランもすぐに反応した。ただ、そこでちょっと後ろを振り返った彼らの瞳には、フルームが少々遅れる姿が飛び込んできたに違いない。この時はすぐにライバルたちに合流を果たしたが……。
「フルームが苦しんでいるのが見えた。でもあれが『はったり』かどうか確信がなかった。だからアタックする前にちょっとだけ時間を置いてみた」(デュムラン、フィニッシュ地インタビューより)
そしてフィニッシュ手前2km、満を持してデュムランは加速を切った。これがフルームの息の根を止めた。ただ「僕もすでにへとへと」だったせいか、トーマスとログリッチェを突き放すことは出来なかった。残り1.5kmではログリッチェも再度スピードアップを敢行するも、やはり「フルームからしかタイムは奪えなかった」(フィニッシュ地インタビューより)。トーマス、デュムラン、ログリッチェはにらみ合いもつれ合いの三つ巴で、フラムルージュをくぐった。
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