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そこで生まれた奇妙なためらいを、プリモシュ・ログリッチェは上手く利用した。総合首位ゲラント・トーマスから2分46秒遅れにつける総合4位は、他のビッグネームたちの睨み合いを尻目に、力強く坂を駆け上がった。フィニッシュラインでは後続トリオに8秒差をつけた。
後続トリオ……それこそがフルーム、トム・デュムラン、トーマスであり、グランツール総合6勝現役最強王者、2017年ジロ総合覇者、現マイヨ・ジョーヌであり、現時点の総合トップ3である。
ログリッチェ加速後も、スカイの2人は、21歳のエガン・ベルナルに制御を委ねた。一方「アシストもおらず、完全に孤立しているのに、あれだけのことをやってのけるとはスゴイ」(公式記者会見より)とトーマスを驚かせたデュムランは、残り2㎞で急加速を敢行。瞬時にマイヨ・ジョーヌが後輪に飛び乗り、フルームとナイロ・キンタナも追随した。ロメン・バルデだけが動けなかった。
「1日中ゆっくり走ってきて、突然、スピードは極限まで上がった。僕は調子が最高ではなかった。それでも自分なりに全力は振り絞ったんだけど……。激烈すぎる戦いだった」(バルデ、TVインタビューより)
フルームは大きく後ろを振り返ると、今度は自らが加速を切った。トーマスも大急ぎで先頭を入れ替わった。果たしてリーダーのための「先頭牽引」だったのか、デュムランが指摘したように「僕が後輪にくっついてるのに、トーマスはフルームとの穴を自ら埋めに行った」のかは定かではないが、とにかくこの動きでキンタナも振り落とされた。
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