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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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制限タイム内でフィニッシュするための死闘をかいくぐり、大会に生き残った数少ないスプリンターたちが、この日は得意の平地で熾烈なスプリント争いを繰り広げた。水を得た魚のようにハンドルを投げ合い、またしてもペーター・サガンが最強を誇った。
寝覚めは悪かった。ラルプデュエズの山道で落車したヴィンチェンツォ・ニバリが、椎骨骨折で大会を離れた。しかも落車の瞬間を撮影したビデオが、SNSやテレビで繰り返し流された。選手本人は警察オートバイとの接触を示唆していたが、映像により、観客のカメラストラップが原因と判断された。マイヨ・ジョーヌのゲラント・トーマスに対するブーイングや、クリス・フルームへの観客による妨害行為も、あちこちで問題視された。
レース開催委員長のクリスティアン・プリュドムは、TV生中継を通して「あらゆる選手はチャンピオンであり、尊重に値する人間だ。選手一人ひとりに、最低限のリスペクトを」と訴えかけた。またフランスファンの絶大な人気を誇るロマン・バルデも「スポーツは人々の心を1つにするためにある。いがみ合うためにあるのではない」とコメント。
ちなみにブーイングを浴びせかけられている張本人は「まあ聞き流してるけど……。それに人気者だけどバスに直帰する立場よりは、ブーイングを受けつつ表彰台に上るほうがずっといいけどなぁ」(公式記者会見より)と、いつもながらのクールな回答だ。
肌寒いラルプ山頂から降りると、下界はまるで窯の中のように暑かった。しかも選手たちの肉体には、激しすぎたアルプス3日間の疲労が、厚く蓄積されていた。少し重たいような、かといってちょっとリラックスしたような、不思議な空気にツール一行は包まれた。
なにより平坦ステージではあったけれど、走り出す前には、大集団スプリントフィニッシュの可能性に「疑問符」が灯っていた。この2日間でワールドクラスのスプリンターが5人も大会を去った。エース級スプリンターはもはや大会に片手ほどしか残っていない。もしも大きな一団を逃がした場合、予想以上に制御に手こずることも十分にあり得た。
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