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サイクル ロードレース コラム 2018年7月18日

ツール・ド・フランス2018 第10ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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その7分ほど後に、スカイに牽引されたプロトンも、第2次世界大戦中に多くの抵抗運動家が命を落とした追悼の地へとたどり着いた。小石混じりの道でクリス・フルームがパンクに見舞われるも、パルチザンの歌が厳かに流れる中、何事もなく静かに集団復帰を果たした。さらにはグリエール峠を下り切った先の長い谷間では、一時はバラバラになった逃げ集団やメイン集団も、再び大きくなった。

ラスト30kmに待ち構える1級ロム峠が、この日の勝負を決した。18人になったエスケープから、真っ先に仕掛けたのはリリアン・カルメジャーヌだった。1年前の夏に18kmの独走で区間初勝利を手にした25歳は、この日は36.5kmで加速に転じた。しかし逃げ集団のライバルたちが、すぐに後を追いかける。吸収と同時に、カルメジャーヌのチームメート、レイン・タラマエがカウンターアタックを打った。2016年ジロで14kmの独走勝利を決めたエストニア人は、その後6kmに渡ってひとり先頭を走り続けた。

しかし、アラフィリップが、元気よく追いついてきた。1週目の活躍を誓って大会に乗り込みながらも、思い通りの成績が出せなかったパンチャーは、失望をモチベーションに変えていた。自分向きの脚質だった第5ステージや、一番に狙いをつけていた第6ステージでは、本人によると「脚がなかった」。幸いにも今日はとにかく調子が良かった。

「これまで味わってきた数多くのフラストレーションが、僕の精神を鍛え上げてくれたんだ。五輪での落車、世界選手権でのラスト1kmでの吸収、初出場ツールの第2ステージでサガンに負けたこと、クラシックではバルベルデの後ろで2位ばかり重ねてきたこと……」

最後は腹の底から力を振り絞った。本人のフランス語表現を借りれば「内臓を食卓の上に並べた」。残り30kmでアラフィリップはタラマエを捕らえ、1km先で振り払った。勝負は決まった。そのままロム山頂を先頭で通過すると、とてつもないスピードでダウンヒルへと突っ込んだ。道幅の狭いヘアピンカーブの連続も、アスファルトの一部があちこち溶けているような危険な状況も、「ジュジュ」を震え上がらせたりしなかった。みるみるうちに後続とのタイム差を開いた。

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