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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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この日最初のアタックを打ったダミアン・ゴーダンと、第2波で逃げ出したレイナールト・イェンスファンレンスブルクとは、第3セクターを抜け出した直後の残り20kmでついに捕らえられた。おかげで残り18km地点のボーナスタイム収集ポイントでは、悠々とヴァンアーヴェルマートが先頭通過。「ルーベで黄色」にこだわる2017年パリ~ルーベ覇者は、3秒を新たに手に入れた。
そして伝統の石畳路「カンファン・アン・ペヴェル」が、この日の勝負を大きく決める。第2セクターに突入した直後の、残り16.5km地点で、ベルギーチャンピオンのイヴ・ランパールトが急加速。ヴァンアーヴェルマートとデゲンコルプもすかさず後輪に飛び乗った。2015年大会でも最終盤で「三つ巴」を繰り広げた3人は、そのままあらゆるライバルを後方に置き去りにした。
2018年大会覇者ペーター・サガンも、もちろん飛び出そうと試みた。ところがフィリップ・ジルベール(=ランパールトのチームメート)やジャスパー・ストゥイヴェン(=デゲンコルプのチームメート)に厳しくマークされ、上手く動くことができない。残り3km、タイム差が55秒にまで広がったところで、ついにサガンは加速を切るも、上記2人と、やはりクイックステップフロアーズのボブ・ユンゲルスがぴったりと張り付いてきた。
チームメートの頼もしい後方援護を受け、先頭トリオは逃げ切りを確実にした。ラスト1kmを示すフラムルージュから、壮大な駆け引きを繰り広げる余裕さえあった。フィニッシュラインはおなじみルーベ競技場に隣接する道路に引かれたが、まるでヴェロドロームのバンクであるかのように、顔を見合わせ、蛇行し、時には軽く停止。後方から急速に追い上げてくるサガン集団の気配を感じながら、3人はギリギリまで加速しなかった。
あくまでヴァンアーヴェルマートとランパールトは、決して最前列へと出ようとはしなかった。すでに800mにも渡って、先頭で様子をうかがっていたデゲンコルプは、ついに残り200mでスプリントを切った。そのままライバルに1度たりとも先行されることなく、フィニッシュラインを一等賞で駆け抜けた。
「純粋なる幸福だ」(デゲンコルプ、TVインタビューより)
こう言って嬉し涙を流した29歳は、ついにツール・ド・フランスで待望の初勝利を手に入れた。すでにブエルタでは区間10勝、ジロでは区間1勝を上げてきた。2015年にはミラノ~サンレモとパリ~ルーベの「モニュメント」を2つ勝ち取った。なぜかツールでは、区間2位が6回と、あと一歩が足りなかった。なにより2016年1月のトレーニングキャンプ中に交通事故に遭って以来、苦悩の日々を過ごしてきた。調子は思ったように復活せず、以前のようなな成績があげられず、自信を失いかけたことさえあった。
「あの事故は辛かった。多くの人が、僕はもう元のレベルには戻れないだろう、と思い込んだ。あの後もたしかに何度も『後退』した。数カ月前も、ここパリ~ルーベで落車し、ひざを痛めた。4週間自転車に乗れなくて……。僕自身も自分を疑ってしまったこともあった。自信の喪失、これが一番難しい問題だったんだ。でも家族が常に力をくれた。おかげで僕は、自分の成功を信じ続けることが出来た」(デゲンコルプ、公式記者会見より)
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