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バスケット ボール コラム 2019年12月29日

準優勝の福岡大大濠、1年越しに証明した「福岡勢対決が日本一決定戦」

ウインターカップコラム by 平野 貴也
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試合でも、最後までライバルを追いかけた。背番号6の田邉太一(3年)は、相手のスピードスター河村勇輝(3年)に食らいつきながら、18得点を挙げた。平松克樹(2年)も ファウルトラブルに陥りながらも、スピードのある相手ガードに食らいついた。エースの横地は、攻撃面では何度もスティーブのブロックにあいながらアタックを止めず、守備面ではディフェンスリバウンド15本を取ってチームを助けた。2メートルの長身で外角シュートを得意とする木林優(3年)は「一番の敗因は、自分がスティーブを止められなかったこと。スリーも、確率良く決められる強さも必要だった」と悔しがったが、スティーブをマークしつつ、攻撃では3ポイントとドライブで相手を揺さぶった。ピンポイントで起用される高木寛大(3年)も良くチームの雰囲気を引き締め、苦しい場面では、主将の西田とエースの横地がよく声をかけていた。

片峯聡太コーチは、敗れた悔しさをかみしめながら「今年の3年生は、1年の頃は『我、関せず』。2年になると、わがままな集団。3年になり、ウインターカップが近付くにつれて、戦う個性派集団に変わっていった。大会の中でもチームとして成長できた」と選手の成長を称えた。力がある、という程度では、福岡第一を超えることはできない。

苦しんできた。県予選の前には、主将の西田とエースの横地が言い合いになったまま練習が終わった日があり、県予選では福岡第一に敗れ、チームの雰囲気は落ち込んだという。その期間に一部の主力選手が世代別代表活動で離れ、誰もチームを引っ張れず、責任をなすりつけ合う事態になっていた。そこで、ようやく一人ひとりが自覚を持った行動を意識し始めた。西田は「昨年は、ベンチから声を出してくれる選手がいたけど、今年は少ない。なかなか自分たちから行動するということができなかったけど、県予選が終わってから気付き出した。一人ひとりが自覚を持つようになって、この大会でも試合を重ねる毎に成長できた。特に、横地が変わった。ハーフタイムでもタイムアウトでも、横地が『もっとこうしよう』と声を出してくれるようになって心強かった」と最後の最後でチーム力が高まった経緯を明かした。

だから、最後の3ポイントは、誰が決めたのではなく、横地だった。

「自分が行きたいと思ったけど、選手もベンチも先生も、お前が行けと言ってくれた。最後、託してもらってスリーを決められたのは良かったし、あのスリーは、自分たちが頑張って来た成功の証。決め切れて良かったと思う」(横地)

最後までライバルを超えられなかった悔しさは、消えない。しかし、最大のライバルとして認められてきた力を全国の舞台で見せつけることはできた。史上初の福岡勢同士の決勝戦を生み、好勝負を作り出したのは、悔しさにまみれた超強豪校の歩みだった。

文:平野貴也

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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