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バスケット ボール コラム 2019年12月28日

独特のスタイルで好戦見せた東山、王者・福岡第一の背中に届かず

ウインターカップコラム by 平野 貴也
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東山は、どうすれば、もっと対抗できたか。より徹底的に遅攻の応酬に持ち込むか。それならば、苦しい場面での得点力は、もっと高めなければならない。それとも第1ピリオドのように速攻も織り交ぜながら相手の混乱を誘うか。それならば、相手の速攻を恐れない勇気が必要だ。福岡第一は、勝負所で覚悟を持ってキーマンが仕事をした。インサイドを制圧されてリードを奪われた時間帯に河村が3ポイントを決め、一度は完ぺきにブロックをされた小川がドライブからバスケットカウントを奪った。東山は、最後に強気の攻撃を見せられなかった。1対1でタイトに付いて来る相手の圧力に負け、スクリーンを使ってマークをかわしてホッとした瞬間にダブルチームで狙われた。

福岡第一の井手口孝コーチが「他校では一番強いんじゃないか」と警戒した力は、本物だった。河村もマッチアップした米須について「昨年も、今年のインターハイでも戦ったけど、本当に上手いプレーヤー。自分で点を取るより周りにパスを供給しながら行けるときに行くパス重視の選手ですけど、すごく守りにくかった。特にゲームコントロールが上手いと思った」と力を認めた。しかし、一度ひっくり返された後に対抗手段を失ったチームは、力の差を痛感させられていた。

東山は、昨年のウインターカップ、今夏のインターハイに続き、またも福岡第一に夢を阻まれる格好になった。2年生の司令塔である米須は「ガードとして失格。全然、ダメだった」と相手ペースになった試合をコントロールできなかった悔しさを滲ませた。「河村さんがいる間に勝ちたい」と高校ナンバーワンプレーヤーを目標に掲げ、追いかけて来たからこそ、福岡第一は乗り越えたい壁だった。しかし、序盤こそ得意のパスや磨いてきた外角シュートを決めたものの、苦しい場面でチームを救うドライブから得点を奪った河村と比較すれば、チームを勝利に導けなかった悔しさは倍増する。米須は「3ポイントもやられてはいけないところでやられた。河村さんは、僕よりも上の上を行っている。完敗」と話し、悔し涙を流した。東山の大澤コーチも「後半、苦しみながらも付いていけたのは成長。リードを守り続けるか、もう一度リードを奪い返すかというバスケットを、僕がしなければいけなかった」と唇をかんだ。

徹底したセットオフェンスにこだわるスタイルは、王者を苦しめるところまでは到達したが、並び、追い越すには至らなかった。高い壁に挑み続けたからこそ進化してきた過程がある。しかし、健闘で満足するつもりはない。敗れた先輩たちの思いも背負い、独特のスタイルにさらに磨きをかけ、今度こそ王者を乗り越える。

司令塔の米須と、留学生のムトンボは来季も戦力として残る。試合後に河村から「来年、頑張れよ」と声をかけられたという米須は、来季の高校バスケット界の主役候補でもある。

「今年は、全国大会で福岡第一に2回負けた。来年は、福岡第一を倒して優勝したい」

米須は、自らに課題を課すように言った。全国を制して、そのスタイルを天下に知らしめるために、東山の挑戦は続く。

文:平野貴也

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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