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前年に初タイトルとなる首位打者を獲得し、背番号を「51」から「7」に変更して迎えた1998年は、3番打者として左右に打ち分ける広角打法で、一発長打に勝負強さも兼ねたリーグを代表する好打者として輝きを放ちました。日本シリーズでは初戦の先制タイムリーの後も、第2戦で4打数4安打を記録するなど、第5戦まで全ての試合でマルチ安打と活躍。6試合で打率.420、8打点、さらに当時のシリーズ新記録となる9得点をマークする活躍でMVPとなりました。
この年でもっとも印象的だったのが、シーズンでの広島・前田智徳との熾烈な首位打者争いです。ともにドラフト4位入団で、イチローより先に背番号「51」でスタートした1歳違いのヒットメーカーの争いは、わずか2厘差で鈴木尚に軍配が上がりました。
◆斎藤隆(1軍チーフ投手コーチ)
1998年成績:34試合登板(先発18試合)、13勝5敗1セーブ、防御率2.94
東北福祉大学からドラフト1位で入団した斎藤隆は先発としてスタートし、1996年には206奪三振で初タイトルとなる最多奪三振を獲得。その後は大魔神・佐々木主浩のMLB移籍後に守護神も務め、2006年からは自らもMLBに移籍。
ドジャーズ、レッドソックスなどでリリーフとして活躍し、MLB7年間で通算84セーブを記録しました。2013年に楽天でNPBに復帰し、15年に現役引退。引退後は野球解説者、MLBパドレスで編成業務などを経て、20年にはヤクルトで一軍投手コーチを務めました。
98年は前年の右肘手術から復帰した年で、中継ぎとして4月に538日ぶりの白星をマーク。シーズン途中から先発に復帰し、野村弘樹と並んでチーム勝ち頭となる13勝でリーグ優勝に貢献しました。日本シリーズでは第2戦に先発し、西武打線を3安打に抑えて、史上9人目となる日本シリーズ初登板初完封の快投で優秀選手に選ばれました。前年未勝利からの見事な復活劇でカムバック賞も受賞しました。
以上の新コーチ3人に加えて、もう1人の“日本一戦士”が三浦大輔監督です。この年から背番号「18」を背負い、自己最多の12勝をマークしたのですが、筆者の印象では“98年メンバー”では、やや印象が薄い感が否めません。
調べてみると、この年は8月に肝機能障害で約1ヶ月の離脱。日本シリーズでは第3戦に先発しましたが、シリーズ前に二段モーションを指摘されたことが影響したのか、3回途中までに6四球を与えるなど72球を費やし、4失点で負け投手になっています。
その後は挽回の機会もなく、悪い印象を残したままシリーズを終えたことが、印象が薄い理由なのかもしれません。1998年に大活躍した3人のコーチが加わった来季は、三浦監督には指揮官として、日本シリーズの大舞台で雪辱を晴らしてもらいたいものです。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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